DVD 試写室◆ DVD評 神を知っていても、世の価値観に引きづられていませんか
砂原 俊幸
いのちのことば社 フォレストブックス編集長
難病にかかった九歳の少年が主人公だ。彼は、毎日のように「かみさまへ」と書いた手紙を出し続ける。それは、その日感じたこと、失敗したこと、誰かに謝らなくてはいけないことなどがつづられた、祈りそのものなのである。
そんな少年をとりまく大人たちは、皆懸命に生きようとしているのだが、簡単には解決しない問題を抱えている。神がいるなら、なぜこの苦しみを放っておくのか、という疑問を心にくすぶらせて……。
けれど少年は、ひたすら神さまへの手紙を書き続ける。その姿は、見える世界だけに軸足を置いているなら、無駄なことであり、かわいそうな少年の気休めにしかすぎない。しかし、その手紙は意外なことに用いられてゆき、少年の心に宿った神の愛が、周囲の人々へと広がっていく。
二〇一〇年に全米公開され、初登場で十位に入る健闘をみせた映画だという。
「神を知っていても、知らず知らずのうちに、目に見える世界の常識や価値観に引きづられていませんか」 少年は、暗黙のうちにそう問いかけてくる。
近所に住む老人は、少年に語る。
「君は神に選ばれた戦士だ」。神が確かにおられ、神に信頼することの大切さを伝える戦士―。不思議なことに、みことばを素直に心に抱いたとき、神の力がその人の内や周囲に対して発揮される。人の意思におかまいなくふるまえる力をお持ちでありながら、神が求めているのは、自由意思で神と交わろうとする者なのである。
八歳の息子を、難病で亡くした父親が原作者だという。「この病気は、……神の栄光のためのもの」。それは決して信仰者の強がりなどではない。すべてを司る主イエスが語った約束なのである。
シンプルに、子どものように、神様に手紙を書いてみるのも、心の中で祈ることとは違った趣があるかもしれない。
「こんにちは かみさま。さいきん こころのへやが がらくたでちらかっています。かたづけるのを たすけてください……」
「かみさまへのてがみ」
個人鑑賞用 3,990円
(49000)
教会・団体レンタル用 10,500円
(49001)
発売・販売元 エプコット
取扱い ライフ・クリエイション
TEL.03-5341-6927
アメリカ/114分/原題:Letters to God/監督:デヴッド・ニクソン/出演:ロビン・ライヴリー、ジェフリー・ジョンソン、タナー・マグアイア