DVD 試写室◆ DVD評 119 モーセDVDの比較②
「十戒 モーセ」
大橋由享
イエス・キリスト ファミリー教会牧師
名優ベン・キングズレーは、目で演じる
前号に引き続き、モーセの生涯を映像化したDVDをご紹介したい。「十戒 モーセ」(完全版)である。この作品でモーセを演じるのは、映画「ガンジー」でアカデミー主演男優賞を受賞した、あの名優ベン・キングズレーである。
彼が演じるモーセは、内向的で、どこか寂しげ。力強い、勇敢な人物ではない。
たとえば、土地の羊飼いにからまれたチッポラを助け出すシーン。前回、ご紹介した「十戒 キングダム・オブ・アーク』のモーセは、腕力を使って叩きのめした。しかし、本作のモーセは知恵を使って追い払うのだ。
しかも、うまくピンチを切り抜けたのに、その直後、水をすくって飲むモーセの手は、震えが止まらない。
そんなモーセが、シナイ山で、神の語りかけを聞く。イスラエルの民をエジプトから解放するという、あまりにも大きな使命に、モーセは戸惑い、恐れ、オロオロする。“not me! not me! not me!”と繰り返し、どもりながらも必死になって、「私には重すぎます!」と訴える。頭を抱え、苦悶する。
弱さを抱えるモーセを、名優ベン・キングズレーは、見事に、「目」で演じて見せている。物静かで、どこか寂しげな目。恐れで見開かれた目。自信なさそうにおどおどと泳ぐ目。時には、人々に問い詰められて、その目を伏せてしまう。そして、時には荒野にひとりひざまずき、神を求め、慕いあえぐような目で天を見上げる……。
最も印象的だったのは、金の子牛事件のシーンだ。どんなに戒めても、民の多くは、あくまで金の子牛を拝むと言い張った。ことここに至って、モーセは命じざるをえない。「聖絶せよ」。
そこからは、モーセの目のアップと、同胞が同胞を討ち取るシーンが、フラッシュカードのように繰り返されるのだ。殺戮を見つめるモーセの目は、オロオロと視点が定まらない。涙が盛り上がり、あふれ出る……。
この作品に描かれているのは、スーパー・ヒーローではない。私たちとなんら変わりがない、生身の人間、モーセなのだ。
それだけに、苦悩しながら神に従うモーセを描ききった本作品は、私たちに大きな励ましを与えてくれるのである。
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