DVD 試写室◆ DVD評 134 「God Bless You」
大橋由享
友愛グループ イエス・キリスト ファミリー教会牧師
まさに鳥肌もの! Various Artistsが歌う
“God Bless You”
皆さんは、“God Bless You”という曲をご存知だろうか? 作詞は、関根一夫牧師。作曲は、ゴスペルシンガーの岩渕まことさん。日本生まれのこの曲は、すでに、英語圏の国や、韓国、そして、モンゴルでも歌われているという。今回、この曲を、日本語(歌:久米小百合さん/Various Artists)、韓国語(林美貞さん)、英語(Leia Collinsさん)、北京語(邵邵さん)で歌ったCD、“God Bless You”が発売されることとなった。
CDと同時に製作されたDVD版“God Bless You”には、Various Artists(日本で活躍する8人のゴスペルシンガー)による録音風景が収録されている。これが、実にいいのだ!
まずは、作曲者である岩渕さんの弾き語りから、しっとりと始まる。そして、場面が切り替わるとスタジオの中。マイクの前に並んだ8人のシンガーが歌い始める。いずれも、第一線で活躍するクリスチャンアーティストたちだ。
一人ひとりのソロ。そこに波のようにハーモニーが次々にかぶり、アドリブなのだろうか、伸びやかで自由奔放な声が絡みついていく。それぞれの個性が十分に引き出されつつ、それがひとつの歌に織り成されていくさまは、まさに鳥肌もの!(このDVDを観て、「ああ、自分にも音楽の賜物があったら!」と思うのは、私だけではないだろう)
もちろん、テクニックだけの問題ではない。これは、彼らの賛美であり、祈りなのだ。隣人の祝福を祈る“God Bless You”という8人の祈りが重なり合い、ひとつになって、父なる神のもとに昇っていく。だから、これほどの感動を覚えるのであろう。
また、このDVDでは、作詞者の関根牧師が、この曲ができた経緯を語っている。それは、ある年配のクリスチャンとの出会いだった。悩みを抱えた彼に寄り添い、彼のために祈る中で、関根牧師はこの曲のインスピレーションを得たのである。
作曲者である岩渕さんも、こんなエピソードを紹介している。少年刑務所でミニコンサートを行った時のこと。「最後に、この“God Bless You”を歌ったんですが、まるで雨が降ってきたみたいでした」と、岩渕さんは振り返る。聴いていた30人の受刑者が、皆泣き始めたのだ。一人ひとりの祝福を心から祈る思いが、曲を通して、彼らの心を揺さぶり、溶かしたのであろう。
CDだけではなく、ぜひDVDでご覧いただきたいと思う。この曲に込められた思いと祈りが伝わってくるだろう。