DVD Review ◆ DVD評 主、戦国日本を愛す!
ネオ歴女が萌える?武将たちの輝き
「キリシタン大名―禁令に翻弄された三人のサムライたち―」
鹽野佐和子
映像翻訳家・脚本家
「きゃ?官兵衛さま??、ウッジーちゃ?ん?、UCANDONO?萌え?!」と、にわかネオ歴女になって黄色い声を上げたくなる。そんな戦国キリシタン武将徹底解剖DVDが発売された。黒田官兵衛、蒲生氏郷、高山右近という超豪華顔ぶれ。まるでトシちゃん、マッチ、ヨッちゃんである(世代が古くてごめんなさい)。
大河ドラマで脚光を浴びている黒田官兵衛は秀吉のバテレン追放令に従い棄教したと言われてきた。しかしこのDVDを見る限り、そんな話は疑わしいのではないかと思う。官兵衛は棄教したと言われた後も十字架を立てて関ヶ原に出陣したり、葬儀はキリスト教で行うよう遺言したと言う。
特に印象的なのはカメラが捉えた彼の刻印だ。その図案が美しい。十字架を囲む「simeon josui」の文字。「simeon」は洗礼名で「josui」は彼が棄教&隠居後に名乗った名前だそうだ。その由来は本編では触れられていない。だが、なんとポルトガル語で「イエズス会員=jesuita」は「ジュズィータ」と発音するらしい。ジョスイとジュズィータ、偶然にしては似すぎ? 策略家の官兵衛は棄教のフリして「ホントは僕はイエズス会員なのさ?」と居直っていたのでは? もしそうなら、真実を知った秀吉は猿顔を真っ赤にして「キキー」と地団駄を踏んだことだろう(ネオ歴女の夢想)。
ところで、ウッジーこと蒲生氏郷は、秀吉から会津を与えられ鶴ヶ城を築いたそうな。その天守の間にはキリスト教国の王たちを描いた屏風絵が残されていたが、それがまた色鮮やか! スペインの教会にモザイク画で「UCANDONO」と刻まれた高山右近の裃姿も凛々しくて、映像作品ならではの麗しさにネオ歴女はお腹いっぱいである。
さらに特典映像の守部喜雅氏によるトークも必見だ。興味深い歴史秘話、そのよどみない語り口に「こんな人が歴史の先生だったら、私もネオではない、ホンモノの歴女になっていたのにね?」と思ってしまう。
このDVDは主イエスが昔から日本を愛されていたと証ししている。ぜひ、ご覧あれ?
*全編95分(本編70分+特典映像25分) <特典映像>1.守部喜雅解説「天を想う生涯」2.主な参考文献と資料*エンディングテーマ曲:Migiwa「愛の世界」