NEWS VIEWS FACES 「パッション」にパッション
礒川道夫
ライフ・エンターテイメント
チーフ・プロデューサー
「メル・ギブソンがキリストの最後の映画を製作したが、アメリカで映画館にかからないらしい」と聞いたのは、2年くらい前だろうか。また、日本で彼の会社のアイコンが映画「パッション」の売り込みのために関係者試写会を行い、業界の方々から、「あれは相当むごたらしいよ」と聞いたのは、昨年だった気がする。
アメリカでこの映画が中々上映できなかったわけは、「イエス・キリストを十字架にかけたのは、ユダヤ人だ」と、第二次世界大戦のヒットラーの弾圧が再び起こるのではないかと懸念したのと、あまりにリアルなので、上映反対があったのが理由だそうだ。
アメリカで遂に上映館が決まったと聞いたので、日本ではどこの映画会社が購入してくれたのかと関心を持って探していると、「日本ヘラルド映画」が購入したとのこと。
さっそく電話をして協力したいと申し出て打ち合わせに行ったのが2月20日。この時はまだアメリカで公開が始まっておらず、日本での上映館も新宿の1館だけだった。
ヘラルドになぜこの映画を上映したいのかを聞くと、マーケティングの方が、「復活に感動しました。この映画には『希望』があるのですよ」と言われた。クリスチャンではない方に、こう言われたのでは、どっちがキリスト者かわからない。そこでなんとか成功させたいと思い、3月にキリスト教関係者の試写会をすること、全国のキリスト教書店でもチケットを購入出来るように、教会へのDMを決めた。
試写会も、カトリック、プロテスタント各派が、快く協力してくれて、超教派で集会を持ち、試写会の最後にはお祈りすることもできた。
そして、アメリカが公開を開始すると、なんと3000件の映画館で、最初の数週間は、トップの成績。
またこの勢いは、オーストラリア、アジアにまでおよび、そしてイスラム圏でも上映されて、多くの人たちが劇場に集った。宣教師の入れない国で、「十字架と復活」が公に伝えられるのは奇跡である。これを聞いた日本の映画館では、予定を変更して「パッション」を約150館が上映してくれることになった。そして5月、半月で60万人の人々がこの映画に集う。最終的には100万人にせまる勢いで、フランシスコ・ザビエルが日本に来て以来、こんな短期間に福音が語られたことはない。
映画は賛否両論ある。イエスが十字架にかかった時から、賛否両論があるのだから、当然のことである。メル・ギブソンは、この映画を 「観る」のではなく「体験」してほしいと言った。2000年前に、あの十字架の前に、私達がいたらどう行動するのか、「大工の子」か「神の子」か、決めなくてはいけない。十字架を見ずに逃げた弟子達もいた。私達はどうするだろうか。とにかくまず逃げずに、この十字架を体験してほしい。あれだけ打たれなければ私たちの罪はいやされなかったことを知ってほしい。
「彼の打ち傷によって私たちはいやされた。」(イザヤ53:5)