NEWS VIEWS FACES 「パッション」にパッションII

DVD『パッション』
礒川道夫
ライフ・エンターテイメント チーフ・プロデューサー

DVD・ビデオ化決定!

 日本では「パッション」の意味は「情熱」だったが、今や「受難」のイメージが沸くようになった。それだけ映画「パッション」の影響がいかに大きいかがわかる。単館上映だった映画館が、約150館になり5月から7月まで上映され、なんと動員が100万人を突破してしまった。(9月中も一部地域で上映)

 普段教会に来ない茶髪の頭のお兄ちゃんや、お姉ちゃんが、映画館に集い、涙をながし、タイトルバックエンディングが流れていても、ほとんどの人が座って観ていたと皆が言う。何がそれ程感動を与えたのだろうか。

 ゲツセマネで苦しむイエス。じっと見つめるサタン。創世記3:15の預言の成就を描いている蛇の頭を踏みつけるシーン。ここからイエスは殴られ、ひたすら鞭打たれていく。

 イエス伝の映画で関心を持つことの一つにユダの裏切りの理由とその後の、彼の心の葛藤がどう描かれているのかにある。「偉大な生涯の物語」ではデビット・マッカラムが、「ナザレのイエス」では、イアン・マクシェーンが演じていたこのユダ。彼がなぜ裏切ったのかは「ミラクルメーカー」の方が明らかである。しかし、ユダの裏切った後の心の描写は、この「パッション」にはかなわない。もう一つの興味は、母マリヤの見つめる目である。御使いガブリエルによって「ダビデの王位が与えられる」と約束されたマリヤ。だがイエスは十字架に掛けられてしまう。この心の葛藤を良く描き切っているのが「ムービー・オブ・ジーザス」のジャクリー ・ビンセットが演じたマリヤだが、この「パッション」では、マヤ・モルゲンステルンが痛めつけられるイエスを、悲しく見つめる神の目の役割を見事に演じ、サタンの目と対比しているところが印象的だ。

 そして、イエスの十字架を代わりに担ったシモンを、イエスと一緒に十字架を担ぐように演出しているのには驚いた。「わたしのくびきを負ってわたしから学びなさい」(マタイの11:9)

「この映画は、クリスチャン以外の人にはわからない」牧師やクリスチャンの方々の試写会をした時に、割と多かった感想である。

 しかし2000年前にイエスが十字架にかかった時、誰もそばに来て解説をしてくれた人はいない。現実に十字架にかかっているイエス。血だらけのイエスを観て、「この方はまことに神の子であった」と告白するか逃げるかのどちらかである。そういった意味では、この「パッション」は信仰のリトマス紙的な役割を果たしているとは言えないか。

 先行販売した全米では1日に400万本売れたとも聞く「パッション」のDVD。キリスト教界関係者なら、個人で1枚は保存版として手元に置いておきたい作品である。

 お友達にプレゼントするなら、同じアイコンが参加している「ミラクルメーカー」と一緒に贈呈することをお勧めする。こちらはイエスの生涯をリアルにファンタスティックに描かれた作品である。