NEWS VIEWS FACES 「千の風になって」が流行る今日に
DVD「黙示録 -ヨハネの最期-」を観る意義
礒川道夫
ライフ・エンターテイメント チーフプロデューサー
流行っていますね、「千の風になって」。オリコンの集計で90万部を突破し、週1万枚ほどのペースで売れているそうである。もともとこの詩は、1995年に英国、BBCで放送して大反響を呼んだ詩だ。アイルランド共和国(IRA)のテロで亡くなった青年が両親に託した封筒の中に入っていた詩で、9.11のテロで亡くなった父親を偲んで、朗読されたとも聞く。日本では昨年の大晦日の紅白歌合戦で歌われてからブレイクした。
「お墓の前で泣かないで下さい。私は死んではいません。太陽の光や千の風になっているのですから」といった内容である。新井満氏の曲によって、さらに日本人のフィーリングに合った。お墓に行って手を合わせる日本人の立場からすると矛盾しているようだが、理屈を超えて日本人の心を捉えてしまった。もちろんアメリカでもBBCでも反響があるということは万人向きなのかもしれない。あのジョン・レノンの「イマジン」にも共通するマインドがある。音楽としては心情的に共鳴出来ても、キリスト者としては、聖書的にアーメンとはいえない。聖書では、はっきりと、死と天国には断絶があり、イエスの十字架のみが、狭き門となってそこに入ることができる。そしてそこに審判者である父なる神の存在がある。
「ヨハネの黙示録」は、第3章まではすらすら読めるが、第4章の「4つの生き物」が登場してくると、想像力が豊かでないと理解出来なくなり、第5章で「7つの封印」が出てきて、「白い馬」や「赤い馬」が出てくるとまったく頭が混乱してしまい、読むのを止めてしまうか、極端に読むスピードが早くなってしまう。
バイブルコレクションシリーズの「黙示録-ヨハネの最期-」は、決して観る者を飽きさせない演出だ。エペソのキリスト者女性アイリーンとローマ軍のスパイであるヴァレリアスとの恋愛、神宣言するローマ皇帝によるキリスト者への迫害。パトモス島に潜むヨハネの他の囚人への愛の行動、イエスの最期の目撃者としての証言、そしてコンピューターを駆使した「7つの封印」のヨハネの黙示。
これらをドラマとしてテンポ良く描いていく。「ソドムとゴモラ」「ハリー・ポッターと秘密の部屋」等で熱演した名優リチャード・ハリスが、幻に戸惑うヨハネを巧みに演じている。吹替版のヨハネ役の「大木民夫」の声もなかなか良い。
字幕、吹替のチェックをしながら、何度も聖書の黙示録を読んだ。きっとこの「黙示録-ヨハネの最期-」を観た方々も同じ行動を取るだろう。「地球温暖化」や「戦前に戻るような気配」に不安になっている方々に、この作品は感情的な共鳴ではなく、神のみことばに基づいた希望があることを教えてくれるだろう。