NEWS VIEWS FACES これがペルー流?
筝弾きペルーひとり旅

CD『箏プレイズ』
末冨敦子
(クリスチャン筝奏者)

 8月末の約2週間、不思議な神様の御業で、ペルーへの伝道旅行が実現された。

 田口吉元宣教師が牧会する「日秘(にっぴ)福音教会」の献堂10周年記念コンサートと在ペルー日本大使館の協力による計10ケ所のコンサートを行なうため、筝2面をかかえ、単身ペルーへ渡った。新聞には私の記事が連日のように掲載され、最初の演奏が大使館主催「浮世絵展」オープニングセレモニーということで、これもテレビ局や新聞社の取材対象となり、「日本から来秘したクリスチャン筝奏者」として紹介された。

 日秘文化会館大ホールや国立音楽院で行なわれたコンサートでは、多くの方々に筝の音色と共にイエス様のご愛を伝えさせていたく機会が与えられた。 そして数々の、インタビューが証しをするよい機会として用いられていった。

 それにしても、国民性の違いを思い知らされる経験も多々あった。最初のカルチャーショックは、前述した浮世絵展会場下見の時のこと。セレモニー前日、大使館の方と会場であるリマ市庁舎のホールに入ると、なんとまだ壁のペンキ塗りをしている最中! 理由は前使用者である壁面画家が、後始末をせずに行ってしまい、市庁舎ではペンキ代がないので、日本大使館で何とかしてほしいという事情。足元をみられた大使館は、翌日の浮世絵展に間に合わせるため、ひたすらペンキを塗るしか道なし…私は、明日着物を着たら、絶対壁に触れないようにしなければ、と考えるのが精一杯。しかし翌日、そこは同じ会場と思えないほど見事な「浮世絵美術館」となっていた! 直前まで段取り皆無に等しく、しかし本番には完璧に近い仕上がりを見せるペルー流のやり方には、その後も翻弄されることになるが、あまりの鮮やかさに感動すらしてしまった。

 コンサートが終わると、私がスペイン語を理解しなくてもかまわず人々は詰め寄ってきてその感動を体一杯に表現してくれた。訳してもらうと「音楽を聴いて心が落ち着いた」「神様に近付いた感じがした」など率直に語ってくださった方もいた。

 今回、神様は私を遠い日本から遣わし、箏を通してみことばを伝えさせて下さった。その御業にただ、驚き感動した旅であった。

末冨敦子プロフィール

 生田流古典流派にて学ぶが、現代箏曲の第一人者故沢井忠夫氏、沢井一恵氏の音楽に出会い、感動を受け師事する。1995年演奏上の挫折を通して幼い頃信じていたイエス・キリストのもとへ返る。1996年より伝道のために「やすらぎコンサート」を各地で開催し、現代箏曲や誰もが知っている懐かしい日本の歌、そして賛美歌とワーシップソングを織りまぜながら、美しくダイナミックな音色を奏でる箏のしらべが聴く人の心に深く届き、好評を博している。