NEWS VIEWS FACES 富弘美術館 開館20周年 ありがとう600万人
&星野富弘 岩渕まことCD全3巻完成記念
礒川道夫
ライフ・ミュージック チーフプロデューサー
キックオフコンサート レポート
「嵐を呼ぶ男」。岩渕まことさんに、そう名付けたのは星野富弘さんだ。その理由はこれまで発売した2巻のアルバム「ぺんぺん草のうた」「日日草のうた」の発売記念コンサートを、「富弘美術館」「高崎」「軽井沢」と行なってきたが、いずれも雨か嵐のような冷たい風が吹いていたからだ。「富弘美術館」「高崎」は野外コンサートだったので、肌寒かったが、星野富弘さんは最後まで聴いてくれていた。では、今回は、どうなったかというと、やはり雨。それにもかかわらず、会場の童謡ふるさと館ファミリーホールは、250名の人たちでいっぱいになった。みどり市市長、市議会議長のあいさつの後、岩渕まことさん、由美子さんそしてNHKのど自慢大会で活躍しているキーボードの西原 悟さん、メジャーなアーティストのツアーサポートメンバーのベース担当、谷 源昌さん、そして第3弾のCD「サフランのうた」に参加しているヴァイオリンの宮池正子さんが登場した。
1曲目は、「よろこびが集まったよりも 悲しみが集まった方がしあわせに近いような気がする」で始まる「きく」だ。ヴァイオリンの音色が、とても幸せな感じを与えてくれる。「時」そして「ぺんぺん草」と続き、この曲が初めて星野家を訪れて披露した時の緊張感でいっぱいだったことを話してくれた。「つばき」「椿の実」と続いたのだがここでサプライズ。CDでは「椿の実」の最後に「こりゃあ、椿の実だど」の語りが、富弘さん自身の声で入っているのだが、なんとライブで富弘さんが語ってくれたのだ。あまりの拍手に、語りのアンコールが起こった。
全部で10曲そしてプログラムの関係でアンコールに用意した「コスモス」も歌ってしまったのだが、ここで予想に反して会場から割れんばかりのアンコールの拍手が起こった。アンコール曲も歌ってしまったので、会場の皆さんからのリクエストを取ると「まつたけ」の声。「がんばれまつたけ。まつたけがんばれ」。曲が付いたので、もっと知られるようになった富弘さんの曲のひとつ。この歌で元気をもらった。
ここで地元のあずま小学校の3,4年生の皆さんが「しおん」「日日草」を歌ってくれたのだが、これがまた岩渕節とは一味違った、心にしみ込む清らかな歌声だった。
そして星野富弘さんのあいさつ。子どもの頃、川で山椒魚を取ったがそのまま飲みこめなくて友達の評価が下がったことなど、ご当地でしか聞けないようなエピソードも語ってくれた。「言いたくても言えない行間の思いを、音楽を通して岩渕さんが歌ってくれた」とのコメントをいただく。そんな風に思ってくれていたとは、制作者としては感無量だ。
そして会衆一同と「ぺんぺん草」を歌ってお開き。会場を出ると、雨があがり美しい真っ赤な夕焼けと紅葉がひとつになって富弘ワールドを描いていた。