愛しきことば 第5回 花とことばと

inokoto425

カリグラフィーアーティスト 松田 圭子

今年のペンテコステ(聖霊降臨日)は、5月15日です。今月号の表紙は、ペンテコステの花とされているグロリオサを選びました。聖書の中では、「炎のような分かれた舌が現れて、ひとりひとりの上にとどまった」(使徒2:3)とあります。この様子を表す花として、花びらが上に反り返り、炎のように見えるので、聖霊降臨の花とされたようです。自然に咲く時期は、7~8月ですので、季節の花とするには、5月は少し早いかもしれません。
最近、夏にこの花を花屋さんの店先でよく見かけるようになりましたが、ボリュームのある赤い花ですので、クリスマスのフラワーアレンジ用に栽培されることも多いようです。グロリオサは、ユリ科のつる性植物で、葉の先端がつる状になり、他のものに絡みながら伸びていく不思議な植物です。名前の由来は、ラテン語のグロリオスス(栄光ある、名誉ある)からだそうです。
そして5月といえば、バラが最も美しく咲く季節でもあります。キリスト教でもバラはいろいろな意味の表現に使われています。もともと英語のroseとは、ケルト語のrhodd(赤の意)が語源で赤いバラのことだったようです。キリスト教以前のヨーロッパでは、赤いバラはビーナスの花で、愛と官能の象徴だったらしく花言葉も「恋愛」となるようです。キリスト教が広まってからは、キリストの血を意味する花とされ、キリストの受難を表す場合にも用いられています。白いバラは、修道士たちの「英知、純潔のシンボル」、ピンクのバラは「感銘」。花の色によって花言葉は違いますが、愛の花であることには変わりないようです。
私事ですが、このバラの美しい季節に合わせ「ことばのローズガーデン」と題してカリグラフィーと水彩画の作品展を左記の日程で開きます。バラを中心とした展示も考えておりますが、いろいろな植物の展示も考えています。それらの植物と一緒のことばもいろいろな分野から愛しきことばとともに作品にしておりますので、ぜひご覧いただければ幸いに思います。