試写DVD 目からうろこの清冽な出会い

日本バプテスト教会連合 大野キリスト教会 主事
太平洋放送協会(PBA) 理事長
神津喜代子

DVD 朝のヒロインはクリスチャン

「DVD 目からうろこシリーズVol.7―朝のヒロインはクリスチャン」

 

私の朝のコーヒータイムはNHKの朝ドラ「あさが来た」の十五分間。大きなカップにたっぷり入れてその香りと湯気を楽しみながらヒロイン浅子の豪気な立ち振舞に一喜一憂する短いひととき。そしてその熱さのまま車で十分ほどの教会の事務所に入る。この半年、浅子に励まされ、時には背中を押されながら日常を過ごしたような気さえする。そんな私に素敵なDVDが届いた。まさに浅子がプレゼントしてくれたような感動。しかも、そのキャッチフレーズも気が利いている、「目からうろこシリーズ」!
時は一九〇〇年代初頭、明治大正昭和と目まぐるしく変動していく日本において、女性の働きは厳しく制限されていた。今でもよく男性が妻を指して「家内」、また丁寧な呼びかけとして「奥様」と言う。これは家の奥にいるのが妻の美徳といわれている日本の歴史の名残りでもある。
しかし、この偏見の時代に、女性の目線と視野と開拓精神をもって未来を切り開いた三人の女性たちがいた。彼女らの心にあるのは神を敬い人に仕えるクリスチャンの愛と奉仕の揺るがない生き方。このDVDは三部構成になっている。第一章は広岡浅子。まさに凛として背筋の伸びた美しき人。彼女は実業家でありながら女子教育の先駆者であり、日本女子大学の設立にも関わる。また、村岡花子を文学界へと送り出す役目も果たした。第二章は村岡花子。宣教師L・L・ショウとの出会いから『赤毛のアン』を翻訳。戦争は戦禍ばかりでなく世界文学の扉をも次々と開いた。彼女によって数々の名著が翻訳され、日本の女性たちの信仰と愛を育てる。第三章は竹鶴政孝・リタ。北海道の余市でウイスキーを手掛ける夫を支え続けた。戦時中も母国へ帰ることなく余市で過ごした。夫も病床で洗礼を受けている。余市には今もリタ幼稚園が残っている。
それぞれの人と時代と背景が、まさに織物のように緻密に艶やかに描かれていて、ナレーションも無駄がなく歯切れもよく心地よい。この作品を手にとって、この先駆者たちと向き合ってほしい。女性として人として、ぜひこの私の彷彿とした感動を味わって欲しいと思う。

*本編 約88min.+特典映像10min エンディングテーマ曲 I.Ary「ダイジョウブ」
*内容 第一章 広岡浅子篇 女性たちよ 目覚めなさい/第二章 村岡花子篇 曲がり角で会いましょう/第三章 竹鶴政孝・リタ篇 マッサンの告白 <特典映像>1.特別インタビュー/2.風見鶏もクリスチャン/3.単発小説ドラマ(主演:森 祐理)
企画・構成・撮影・演出 在原義男 / 企画・構成・脚本 鹽野 佐和子 / 構成・脚本 白石茂樹(広岡浅子篇)