愛しきことば 第6回 愛の讃歌
6月。日本では鬱陶しい梅雨の季節ですが、欧米のジューンブライドにあやかって結婚式を挙げる人も多いようですね。私も主人を亡くしてから2年後に今の主人と再婚しました。しかしいろいろな事情があって式を挙げられないままになっていました。あっという間に時が過ぎ、11年めにやっと結婚式を挙げられることになりました。その11年の間に私たち家族は教会と巡り合い、そして家族全員で受洗し、その教会で結婚式を…となったのです。
挙式のきっかけは、教会学校のお手伝いに来ていた神学生が、あるとき、私たち夫婦が結婚式をしていない事情を知り、「僕が神父になった暁には、松田さんご夫妻の結婚式をさせてください」と言ってくれたことでした。数年後、神学生は神父になり、「いつにしますか」の連絡も頂きうれしかったのですが、主人も私も心構えとして何かを求めていました。そんなとき、上の娘がある心ない親戚に今の父親の悪口を言われたことに対し、「私の結婚式にはお父さんとバージンロードを歩くんだ!と言ってあげたのよ」と言うのを主人は聞いて号泣し、また同じころ、突然、主人の姉から物質的にも精神的にも大きなものが送られてきました。大きなものとはご想像にお任せしますが、私にとって嫁として認めてもらえたと受け取れるものでした。
2人にそんな出来事があり、式をお願いすることにしました。しかし若い人の式ではないので何か信徒らしい意味を持たせたいと考えておりました。そして考えたのが、Sさんのことでした。Sさんは幼稚園のお子さんのいるお母さんで、そのころご主人を交通事故で亡くされたばかりでした。直接ことばでは言えなくても、あなたのつらさはわかるよ、と寄り添いたかったのです。そこで思いついたのが、ブーケトスでした。かなりの名案!と思ったのですが、当日、確実に来ていただけないとせっかくの名案も計画倒れです。ふと、気づいたのは、幼稚園のお子さんに「リングガール」をお願いすることでした。それなら絶対にお母さんも出席してくれるはずです。こういうときの悪知恵は結構働くものですね。そして着々と準備を進め、式当日を迎えることとなりました。続きは7月号で。
■5月16日からギャラリー八重洲・東京で開催される松田圭子氏作品展「ことばのローズガーデン」
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