試聴CD さまざまな一つの試み
日本同盟基督教団 等々力教会 牧師 井上 義
「教会福音讃美歌Vol.4
日本人がつくった神への讃美」
西由起子、フェリス・フラウエンコーア、
エヴァンゲリウム・カントライ、
東京基督教大学木声会2016、塩谷達也、他
全18曲 2,500円+税
制作・発売元 ライフ・クリエイション
TEL.03-5341-6927 (48759)
<収録曲>わが主よ わが神よ(186番)/心を尽くして(7番)/夜明けの丘は(151番)/主よなが道われに示し(189番)/苦しみわれを囲むとも(421番)/キリストの前に(452番)/われらはキリストのもの(232番)/主の食卓を囲み(265番)/子どもを愛する主の御前に(285番)/私を見つめ(286番)/主の御前に集い(506番)/あなたの神(211番)/詩篇73:21-24(194番)/主の祝福があるように(206番)/たとえば私が(395番)/豊かな賜物(176番)/ヨハネ3:16(217番)・あなたがたのからだを(267番)※メドレー/父なる神に(275番)/
CD『教会福音讃美歌』シリーズ第四巻目になるとのこと。讃美歌集は、出版までの道のりも大変ですが、そこからの普及のための働き、あるいは「次の版」への長い下準備の働きも、同じくらい大変です。また、個人歌集ではない「教会歌集」は、そのおもなユーザーたる諸教会からの各種照会や問い合わせにも真摯に対応しなければなりません。教会福音讃美歌の有効利用のためのさまざまなツールの企画があるいは立ち消えとなり、あるいは進行中であるなか、当CDシリーズは四巻目の刊行にまで至りました。これは恐らく、「楽譜のみではよくわからない」という音源に対する一定の期待があるからでしょう。
演奏を聴いてみますと、楽器、スタイル、テンポ等がさまざまなのですが、これをバラバラと感じるか、多様と感じるかは、聴く人次第です。「オーソドックス」と感じられるものもあれば、「讃美歌としてはちょっと落ち着かない」と感じる演奏もあるかもしれません。先日、教会福音讃美歌をとりあげたセミナーにて、「演奏のテンポの指定の記述がないのですが」との戸惑いの声を頂きました。歴史的、文化的に言いますと、讃美歌の歌われるテンポは会衆によってかなり変化します。会衆の言語や音楽文化、果ては年齢層によっても、言葉がスッキリ頭に入ってくるテンポ、自分の言葉として掴んで歌えるテンポは違います。ですから、極論するならば規範的な讃美歌歌唱のテンポの設定、あるいは教科書的な演奏サンプルなどというものは、時として有益でもありますが、時として無意味でもあり、最悪の場合「有害」とすらなります。
ですから「さまざまな一つの試みサンプル集」である限りは、このCDは良いリソースとなることでしょう。これを皮切りとして、さまざまな演奏・歌唱の試みが各地で為されることを期待します。また、教会福音讃美歌を用いる諸教会にとって有益でありうるこのような各種のリソースの製作が、福音讃美歌協会並びに、いのちのことば社の協力によって今後も地道に続けられることを願います。