時代を見る眼264 スポーツ -明日への起点- [3] 「スポーツの可能性」

Japan International Sports Partnership(JiSP)代表
国分寺バプテスト教会 牧師
米内宏明

 

いつの時代にも変わらないもの。聖書はそれを「信仰と希望と愛」(Ⅰコリント13:13)と語ります。それらは数値では測れない内容を持っています。これらこそが聖書が提供している価値です。スポーツは「信・望・愛」を示す大きな可能性を持っています。
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今号が出る頃には、リオ・オリンピックが始まっていることでしょう。ドイツにマルクス・レーム選手という義足ジャンパー(幅跳び)がいます。彼はリオ・オリンピック出場を願っていましたが、義足のジャンプが健常者のジャンプより有利ではない、という科学的検証が不十分という理由で、国際陸連は彼にオリンピック出場許可を与えませんでした。検証では、義足の助走は不利、ジャンプは不利有利の判断がつかない、というものでした。しかしドイツ陸連は、国内大会で優勝した彼の努力と功績を称え(扱いは参考記録ながら)メダルを授与したのです。彼のような選手の登場により、いつか健常者と障がい者とが一緒に競技できる環境が整うかもしれません。そのときに、彼は厚い壁を越えた希望のジャンパーと呼ばれるでしょう。
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「信・望・愛」を砕くのは、“どうせ無理”という「あきらめ」です。
テニスプレーヤーの錦織圭(7/18現在、世界ランク6位)は、「ただ待っていても勝てない。チャンスがあれば前に出て行く」と言い、彼のコーチのマイケル・チャンは、「苦しい状況に投げ込まれたとき、そこから逃げずに向き合わなければ負けてしまう」と言います。
あきらめないためには、「学ぶ力」を身につけることが大事です。「学ぶ力」とは「先駆的に知る力」のことです。表現を変えると「値札の貼られていないものの価値を探し出そうとする力」です。先駆的であることは、どこにも設計図はないのです。答えも見えません。今ここで説明のしようがない(証拠立てがない)のです。けれども、「見えないものにこそ目を留める」(Ⅱコリント4:18)という価値を大切にする、あきらめない姿勢が大切です。「信・望・愛」は、今のこの国において不可欠なものです。スポーツ・ミニストリーに取り組むことは、教会の性質を再発見することです。教会形成の新しい可能性をもたらすのです。

* JiSPは、Japan International Sports Partnershipの略で、個人と団体の超教派のスポーツミニストリー・グループです。地域のスポーツミニストリーの交流、アスリート支援、ユースの育成、ワールドカップ・ラグビーやオリンピックなどの大会を通しての地域貢献と宣教を目指します。ISC(International Sports Coalition)の日本窓口です。