書評Books 神を知るという信仰の営み 

日本福音キリスト教会連合 自由ヶ丘キリスト教会 牧師 羽鳥頼和

J・I・パッカー 著
渡部謙一 訳

四六判 4,000円+税
いのちのことば社

今回出版されたJ・I.パッカーの『神を知るということ』の原書は、一九七三年に出版され、今も版を重ねて、世界中で読み続けられている名著です。二〇〇六年、米国「クリスチャニティ・トゥデイ」誌において「福音派を形成した最高の五十冊」の第五位に選出されました。
今回出版された『神を知るということ』は、以前『神について』という書名で出版されていました。このたび新しく全面的に翻訳がなされたものです。
本書は信徒向けに執筆されました。どのような人向けに執筆されたかについては、「二〇〇五年版への序言」の中で「理想の読者」すなわち「ただ信心深くしているだけのあり方には飽きたらず、本当に神を知りたいと欲している人」のためであると述べられています。
本書の内容は、組織神学のいわゆる「神論」について記されているのではありません。本書は、キリスト者が生活の場において神を知り続けていくこと、神がどのような方であるかをこの地上で、神から教え続けられることの必要性を語っています。本書は知識ではなく、キリスト者の生き方を語っているのです。
パッカーの神学の書としては『聖書教理がわかる94章 キリスト教神学入門』(いのちのことば社)があります。この書は四章からなり、すべてが「……として啓示された神」と題して神論の視点から、組織神学の各テーマを扱っている点で、とてもユニークです。
組織神学の各テーマを神論の視点で教えているという点で、本書とともに読んでいただくとよいと思います。
本書には、私が持っている『神について』には載っていない「学びのための手引き」がついています。これは、一九七五年に出版された別冊のものです。教会での学びに役立つでしょう。
本書が、「神を知る」という信仰の営みの助けとなり、神とともに歩む素晴らしい信仰生活の助けとなることを期待します。