CD評 リビングバイブルのコンセプトを 見事に表現した聴く聖書

日本伝道福音教団・鶴瀬恵みキリスト教会 牧師
ルーテル学院大学 非常勤講師
堀 肇

「ドラマで聴くリビングバイブル・ルカの福音書」
定価 2,700 円+税
制作・販売元 ライフ・クリエイション
TEL.03-5341-6927(48809)

<収録曲>
4枚組CDVol.1 1章~6章/ Vol.2 7章~11章/ Vol.3 12章~18章/ Vol.4 19章~24章
全収録時間 3時間52分

聖書は書かれた文書ですが、古くは人の声を通して聴いてきたものでした。旧約時代は祭司が律法の書を読み、民は耳で聴き、それを理解したのです。
キリストの時代もそうです。福音書について言えば、人々はイエスのことばを音声で聴いたのです。その物語は観念の世界ではなく、人々の声があり、さまざまな音があり、色がありました。ですから私たちの願いは聖書を読むことを通して、その物語の現場に入れるような読み方・聴き方をしたいということです。
このたび発売された「ドラマで聴くリビングバイブル・ルカの福音書」を試聴してみて、このCDは本来そうした聴くことを中心にしてきた聖書の読み方を助けてくれるものだと思いました。
聖書記者の言葉と登場人物の声が同一の朗読者でなく、それぞれ異なっており、効果音よろしくドラマ仕立てになっているところに大きな特色があります。これは聖書のことばを分かりやすくリアルに、その興味あふれる世界に近づけようと大胆な翻訳を試みたリビングバイブルのコンセプトをさらに推し進めたものといえます。
私はこれを聴いて、まず視覚障がい者の方々のことを考えました。そうした方々にとって、聖書の世界のイメージがさらに豊かにされるのではないかと思いました。
近年私が教えている大学の授業の受講生の中に、毎年といってよいほど視覚に障がいを持っておられる方々がおられます。聖書だけでなく、参考書を読む場合も読み方がとても大切だということを改めて感じていましたので、このような朗読はとても良い参考になりました。またこうしたCDは特に目に障がいがなくても、加齢のため文字を読むとすぐに目が疲れてしまう高齢者やご病気の方々にとってとても助けになると思いました。
願わくはこれが特別なニーズはもとより、通常の聖書の学びのためにも、さらに広く身近な方々への贈り物としても、さまざまな機会に用いられるよう願ってやみません。