書評Books 祈りの中で神への信頼へと導いてくれる
清瀬福音自由教会 牧師 岩井基雄
『朝夕に祈る 主の祈り―30日間のリトリート』
大嶋重徳 著
B6変判 1,000円+税
いのちのことば社
主イエスが教えてくださった「主の祈り」に関しては、すでに多くの著書がありますが、本書は、祈りの言葉のひとつひとつが、平易でありながらも深みのある言葉によって記され、私たちを静まらせ、祈りの中で神への信頼へと導いてくれます。これはきっと学生伝道に携わる著者自身が、実際の生活の中で三位一体なる神との交わりに導かれ、また多くの人々とともに祈りを深めてきた経験によることが大きいのでしょう。本書によって「主の祈り」のひとつひとつの祈りの言葉が、さまざまな角度や視座から深められ、ハッとするような気づきが与えられ、「祈り」の再発見を通して自分自身の信仰や心が問われることでしょう。
本書を三十日間のリトリートや、ディボーション、あるいは家庭礼拝の友として使用するとき、私たちは朝に夕べに、主イエス・キリストから教えられたそれぞれの祈りによって自分自身を振り返り、主にある静まりへとゆっくりと導かれることでしょう。祈れない現実に対する葛藤や、言葉にならないうめきなど、そんな日常の悩みも本書では正直につづられています。苦悩や弱さの中でみことばに向かうことによって自身の内側が問われ、聖さを渇望する思いが与えられ、自然に祈りが深められていきます。朝の祈りは夕べの祈りとつながり、さらにそんな日々を積み重ねていくうちに、祈りは私たちの生き方となり、また他者とともに、神とともに生きる生き方へとダイナミックにつながっていくのです。自分の心の奥の罪や闇から目を離さず真に悔い改め、神の国の完成を目指す具体的な歩みは、クリスチャンだけではなくクリスチャンでない方にとっても恵みのチャレンジとなっています。
ひとつひとつの言葉を通して祈りの世界が広げられ、世界へ向かう祈りへまで導かれていくことも、大きな祝福です。本書は、青少年たちの祈りの成長や、私たちの祈りの成熟に役立ち、そしてそれは新たな祈りの日々へと続いていくことを心から信じています。