書評Books 澄んだ空の下で生きる

長津田みなみキリスト教会 教会員  油井芙美子

『おいのりえほん
―天にいらっしゃいます
大すきな神さま』
エレナ・パスカリ 文
アントニア・ウッドワード 絵
うちだみずえ
209×170mm 1,200円+税
いのちのことば社

周囲を不明瞭な空気が覆う私たちの国と世界の中で、この本を読んで久しぶりに澄んだ空を見たというのが第一印象でした。本のタイトルのように、これは子どもたちのためのお祈りの本です。子どもたちが過ごす日々の新しい生活、家族との触れ合い、自然の中の経験、二十四時間、ひとこまひとこまの中に神様のご支配と祝福、喜びがあふれる、そんなお祈りに満ちています。
お祈りの中には昔から伝えられてきた祈り、詩篇からの祈り、聖書のみことばから導かれた祈り等、子どもの可愛らしいお祈りというより深い信仰から出てくる豊かな祈りを経験します。子どもたちが体験する一瞬一瞬を切り取っても、このお祈りの絵本に養われるなら、サブタイトルにあるように、「天にいらっしゃいます大すきな神さま」が本当に天におられ、「心から大好きな神さま」となることを確信します。
子どもたちだけでなく、私たちもその豊かさの中に生かされたいと願います。今回、お祈りの絵本としてこの本がまとめられ、『こどもせいしょ』のエレナ・パスカリの文、アントニア・ウッドワードの絵が子どもたちをお祈りの深い世界に導いてくれています。それに合わせて内田みずえ先生がぴったりの訳文を提供してくださいました。
使徒パウロは私たちに「最後に、兄弟たち。すべての真実なこと、すべての誉れあること、すべての正しいこと、すべての清いこと、すべての愛すべきこと、すべての評判の良いこと、そのほか徳と言われること、称賛に値することがあるならば、そのようなことに心を留めなさい」(ピリピ4・8)と勧めました。私たちも日々混迷の世界において、このパウロの勧めの言葉をしっかりと握って一生欠くことのできないお祈りの中で子どもたちが豊かに育まれ、祈りのことばに包まれて育つことを願います。そのためにこの本が用いられ、子どもたちの心が豊かにされることを願います。