試聴CD 賛美歌を磨き上げる歌声
シンガーソングライター
日本基督教団東美教会 牧師
陣内大蔵
「7carats+1」
久米小百合、本田路津子、
Kishiko
全8曲 3,000円+税
制作・販売元 ライフ・クリエイション
TEL.03-5341-6927(48840)
<収録曲>
わが悩み知りたもう(NOBODY KNOWS)/ この世のなみかぜさわぎ(LONDONDERRY)/ 鳥の歌/ 神はわがやぐら/ 海よりも深い主の愛/ われらはきたりぬ(三人の博士)/ さやかに星はきらめき(O HOLY NIGHT)/ あら野のはてに
ダイヤモンドの重さ「カラット」(carat)の語源は「イナゴ豆」からきていると知って驚いた、とCDジャケットの最初に久米小百合さんがコメントしています。素朴な一粒がまばゆい輝きへと変化をとげるように、歌い継がれてきた古い讃美歌が、時代を超えて新しい歌へと輝くことを願って私たちになりに磨いた、と。なんと的を射た表現でしょうか。このCDを聴き終わったあとに覚えた感覚としてとても腑に落ちました。それこそ久米小百合さん、本田路津子さん、Kishikoさんご自身が、世にあって歌い手として各々のフィールドで歌声を磨かれてきました。磨かれてきた歌声が、それぞれの賛美歌を磨き上げる。なんと贅沢なアルバムでしょうか。聴き手としてはとても心豊かになりました。
ぼく自身も、ときどきコンサートの片隅で好きな賛美歌を自分なりのアレンジで歌ったりしますが、この「7carats+1」は表現者としても、とてもインスパイアされた作品になりました。久米大作さんのアレンジも一つひとつ「そうくるのか!」とニヤッとしながら聴きました。
圧巻は「さやかに星はきらめき」。三人が入れ替わり歌われるのですが、まるで別の三曲をミックスしたような、各人の持ち味が前面に出つつも、しかし聴き終わると一つの賛美として豊かに心のなかに膨らんでくるという見事なアレンジメント。アルバムの最後にはアカペラで「あら野のはてに」が短く収録されています。
久米小百合さんは「この曲の更なる輝きは皆さまに歌っていただくこと」とおっしゃいます。アルバムタイトルの最後についている「+1」に込められた思いは「聴いてくださる皆さまもともに歌いましょう」と誘ってくださっているのだと感じました。
このアルバムは聴くだけでなく、心踊らされ、そして最後は素敵な誘いで終わります。きっと、手にする人にとって、それぞれの輝きを持つことになるのではないでしょうか。「今」というときだからこそ聴ける、三人の歌姫の至福の歌声の共演。ぜひご一聴あれ。