書評Books 主にある交わりへの招き

浦和福音自由教会 牧師 坂野慧吉

『改訂新版 心の部屋を空けて』
堀 肇 著

四六判 1,200円+税
いのちのことば社

堀肇先生とは、年に一度か二度、お互いに時間を取って絵画展を見に行ったり、共に食事をしたり、公園を散歩したりして、最近読んだ本の感想を述べ合ったり、心の内にあることを分かち合ったりするお交わりを頂いている。お交わりの後には、私の心は「ホッ」とするような解放感に満たされる。堀先生も私も「牧師」として奉仕をしている。お互いに気を遣うことはなく、利害関係もなく、しばしば連絡するわけでもない。それで長く継続した「友」としての交わりが続いている。
このたび、『改訂新版 心の部屋を空けて』をゆっくり読ませていただいて、堀先生自身が「心の部屋を空けて」、「主にある交わり」に私たちを招いてくださっているのを感じた。ある時は「先生と書物の交わり」の中へ、またある時は「先生と来談者の交わり」の中へ、他の時は「先生の心の中でのご自分自身との交わり」の中へ、さらには「先生と主との交わり」の中へ、丁寧に招いてくださる。そこから、読む人自身の心が開かれ、自分の友や家族との関係を見直し、また今の時代に目が開かれていく。
この本は、第一部「心をみつめる」(あなたのために)第二部「心を配慮する」(友のために)第三部「心を分け合う」(家族のために)と分けて書かれている。
「ときには心を休ませて」「心の傷を癒やすもの」「弱い者が配慮されて」など興味深い文章が分かりやすく、愛と温かい心で記されている。著者は「牧師」「臨床牧会カウンセラー・スーパーバイザー」「ゼールゾルガー(魂の配慮をする者)」として、その知見を惜しみなく私たちに分かち合ってくださっている。
牧師も信徒の方々も、「自分の心を見つめ」「自分の人間関係を考え」「神との関係」を見直すために、ゆっくり一日一章を味わいながら、黙想しながら読むことをお勧めする。この本を通して、読む者は「牧会」、つまり「魂の配慮」をしていただいていることを実感するに違いない。