書評Books 教職と信徒が今と未来を知るために
東京キリスト教学園 理事長 廣瀬 薫
『再生へのリ・ビジョン
―次の伝道会議〈2023年〉
へのロードマップ』
第六回日本伝道会議実行委員会 編
A5判 1,500 円+税
いのちのことば社
記録集である。これを、「終わったことが書いてある」と思って読めば、参加した人にとっては記念と思い出となっても、そうでない人にはつまらないかもしれない。しかし、「今と未来のことが書いてある」と思って読めば、第六回日本伝道会議への参加の有無にかかわらず面白く読める本である。
誰にとって面白いだろうか。牧師・宣教師等の教職にとって本書の内容は、プロとして「知っていて当たり前」のレベルの資料にすぎないかもしれない。むしろ信徒にこそ知ってほしい内容であり、信徒が読んで刺激を受け、励ましや示唆を受けて、キリスト者として生きる自分の「今と未来」への視野が開けるきっかけを得られる本だと思う。
第一に、今福音主義の教会が何に問題意識を持って取り組んでいるかの全体像が分かる。それは十五の「プロジェクト」という枠組みになっているけれども、その細項目をよく見れば、教会と社会で信徒が出合うであろう問題意識のリストと今行われている取り組みを見いだすことができるだろう。
第二に、一昨年神戸で開催された第六回日本伝道会議で語られた、クリストファー・ライト氏の四回の主題講演の内容が収録されている。会議の全体テーマである「再生へのリ・ビジョン」について、そして「福音」を今どのようにリ・ビジョニングし、「世界」を今どのようにリ・ビジョニングし、今後の「可能性」をどのようにリ・ビジョニングできるか、まさに福音宣教と教会形成の「今と未来」を考える資料が収録されている。
第三に、では私たちは今具体的にどのように行動できるのかについて、手がかりとなる情報が記載されている。本書のサブタイトルは、「次の伝道会議〈2023年〉へのロードマップ」である。つまり日本伝道会議は「七年に一度開催する」と決めたが、その間をつなぐ活動こそが大切だと考える時代になったのだ。本書を共有して教会、教団教派、キリスト教団体が有機的に結びついて、福音宣教と教会形成に結実を見ることが期待されている。