特集 しあわせを育てる 自分の心の調理法


こころを整えるしあわせレシピ
バイブル×心理学
渡邊義・奈都子 エッセイ
のだますみ 漫画
四六判 定価1,300円+税

イラストレーター みなみななみ

新しいことが始まる季節。進学や就職、新しい出会い。新しい一歩を踏み出そうとしているそれぞれの歩みの上に、いっぱい「いいこと」がありますように! 環境が特に変わらない私の、同じ毎日でも、新しい気持ちで一歩進んでいけたらいいな、と思う。
でも「いいこと」って何だろう。
私は、ずっと「トラブルが何も起きずに、自分の願いどおりになること」が「いいこと」だとそう思っていたけど、実際の人生はいろいろあるよね。うまくいかないことだらけの毎日に、簡単に心を閉じて、落ち込むことも多々あり……。
『しあわせレシピ』に登場する三人の抱える問題はそれぞれ共感できる。
A子(OL)の物語、小さながっかりが積み重なって泣きたくなる日常は「あるある!」。A子が周りの人と自分を比較する「心のグラフ」、私ももっている。ときどき心の中でそれがでかくなる。そんなときの不幸感はハンパない。
B奈(学生)のように、自分に自信がなくて最初からいろいろ諦めてしまうところや、大変な状況の中で、ただ我慢して心を閉ざしてしまうことも、結構ある。神様に対してすら「私が我慢すればいいんだ」と、心が硬くなったままずっと過ごしていた日々も長かったような。
C美(主婦)が、人と深く関われず、付き合いから逃げてしまうところや、ネガティブな感じは自分そっくり。私は結婚してすぐ、夫から「ネガティブ禁止令」が出たほど、ネガティブ発言だらけだったけれど、そんな自分に気づいてもいなかった。小さなことから大きなことまで、よくない予測をしては、それを言い合うのがそれまでの生活では当たり前。否定的な発言は聞くほうも疲れる、ということが今はようやくわかったので、なるべく口には出さないように努めているけど、C美の気持ちはやはりよくわかる。
「いつも喜んでいなさい」「明日のことまで心配しなくてよいのです」「主によって 人の歩みは確かにされる」……。聖書はこう言っている。そういう聖書の言葉に支えらえて、なんとか今日までやってきた。その一方で、言ってることはわかっているけれど、そう心からは思えていない。わかっていても、それができない。だから毎日つらかったり、前に進めなくなったりするんだよなー、ともよく思う。もちろん祈るけれども。
漫画はかわいくて読みやすくて、共感しながらページをめくり、ついつい(テキストページを飛ばして)漫画だけ先に読みたくなる。けど、ちょっと待って、丁寧に「しあわせレシピ」を読んでから続きを読む。と、レシピを受け止め、実際にやってみた三人の心と生活の変化を一緒に体験できた気分になる。
おおお、なるほどー。さすが「レシピ」。具体的、実践的な自分の心の調理法……とでもいうのかな。心理学の裏づけでサポートされていて、やり方さえわかればだれでも作ってみれそうな心の「レシピ」だ。へえー。聖書の真理って、心理学でも真理なんだな(当たり前か)。「自分はこんな人間でどうせ一生変わらない」と私はよく思っていたけど、そんなことはないのかも。レシピどおりにやってみようかな、状況や環境が変わらないままでも、自分にもしあわせな心を育てていけるかも、と思えてくる。
A子・B奈・C美が、それぞれの毎日を、葛藤の中で「しあわせレシピ」(実は聖書)を実践して、しあわせを育てていくようすを見ていたら、彼女たちを支えた言葉、私には聞き慣れていたはずの聖書の言葉が新鮮に心に落ちてきた。やがてじわんと染み込んでホロリと涙が出た。
聖書には、救われて天国に行ける恵みが示されている、それだけでも十分。だけど、私たちがしあわせな人生を歩いていけるようにと、神様はたくさん心の調理法も教えてくれていたんだね。トラブルのない人生はないけれど、いろんなことを、神様と、神様のくれた言葉と一緒に乗り越えていくなら、きっとしあわせな心を育てていける。神様の恵みをもっと知れる。そういう「いいこと」がこれからの毎日には満ちている。それを期待して、新しい一歩を踏み出していこう!