「信仰と仕事」を統合するための必読の書

『この世界で働くということ
―仕事を通して神と人とに仕える』
ティモシー・ケラー 著
峯岸麻子 訳

B6判 2,000円+税
いのちのことば社

グレースシティチャーチ東京
Lightプロジェクト・ディレクター
サックス知子

本書は働いているすべての人にお薦めしたい本です。一般社会、家庭、教会という働く場所を問わず、有給無給に関係なく、すべての働いている方々が対象です。
毎日私たちは、多くの時間と労力を仕事に費やしています。しかし、クリスチャンとして信仰をどのように仕事に生かせばいいのか、今の仕事が神から与えられた召しなのだろうか、仕事の意味は何なのだろうかと、一般社会で働くほとんどの人は悩んでいるか、または割り切って信仰と仕事を分けているのが現状です。この本の共著者キャサリンも、かつてビジネス・ウーマンとして、悩みを抱えながら仕事をしていました。
このような悩みや、「なぜ仕事をしたいのか」「なぜ仕事はつらいのか」「福音によって、こうした困難を乗り越えて仕事から満足を得るためにはどうすればいいのか」という質問に対する答えを聖書から著者と一緒に探るのがこの本の主旨です。
「初めに仕事があった」と、第一章の始まりは神が創造の初めから仕事をされていたことを、聖書からひもときます。さらに、堕罪から影響を受けた世界の現状を把握するとともに、イエス・キリストの贖いによる福音が、仕事の概念や仕事への態度を変え、回復へ導かれます。
ストーリー形式なので読みやすく、聖書学者、作家、哲学者などのコメントもあり、深く考えさせられます。最も目を引くのは、ニューヨークで働くクリスチャンの実話が盛りだくさんに紹介されていることです。これらの実話は大きな助けであり、日本における私たちの仕事や人生にも適用できます。さらに、一般恩恵における神の働きを考えることを通して、ノンクリスチャンに対する見方も変わり、教会の外への福音の適用にも新しいアイデアが生まれます。
本書は、聖書による新しい「働き方改革」の紹介と言えます。聖書とキリスト教信仰が仕事とともに人生のすべての部分で生きたものになり、仕事を通して神の栄光を豊かに現すことができるように祈ります。