特集 日常に言葉の彩りを“日めくりの世界”
短い言葉を、挿絵や写真とともに一日ひとつずつ味わえる「日めくり」。忙しくて本を読む時間や、活字を読む気力がない人たちに励ましや癒やしを与えるものとして重宝されつつある、この新たなジャンルの魅力に迫る。
聖学院大学教授/臨床心理士 藤掛 明
■ 日めくりカレンダーの魅力
日めくりカレンダーとは、一日ごとに一枚ずつめくって、日付などを確認するもので、もともと三百六十五日式のものが主流であった。しかし、最近ではコンパクトな三十一日式のものが人気を集め、日付の確認というよりも日替わりの寸言、あるいは写真や挿絵を眺め愉しむものになっている。
キリスト教界でも、この日めくりカレンダーについては、ユニークな作品がたくさん作られている。そこには不思議なアナログの魅力が息づいており、その多くは、励ましや霊想を、集中的に、習慣・定期的に、味わえる趣向で、一皮むけた古くて新しい紙メディアといえるのではないだろうか。特に、短い文章は読む者を集中させ、読む者の思いを引き出してくれるパワーがある。
■ 私の日めくり体験
私が日めくりに特別に注目したのは二〇一八年二月のことである。筆者のブログとフェイスブックに、牧師向けの寸言を挿絵とともに連続して掲載したのであった。「気晴らしに一日一回、見ていただく助言集」というコンセプトのもと、便宜上、たまたま日めくりカレンダーの体裁をとったものであった。そのころ机上に『ひめくりすずめ』(片柳弘史、二〇一七年、キリスト新聞社)という三十一日式の日めくりカレンダーがあったことも影響していたかもしれない。
日めくりは、考えてみるとうまくできている。後々も眺め直す仕組みをもっているし、一日ごとの文章も短く、思い巡らしやすい。また挿絵部分のメッセージ性も得がたいものがある。
■ コラージュのワークショップで
やがて筆者は、牧師のメンタルヘルス研修の現場において、日めくりカレンダー(三十一日方式)を自作するワークショップを行うようになった。「日めくりカレンダー〈ながもち牧師編〉」と呼んでいる(下、写真)。
まず牧師のメンタルへルスにまつわる寸言と挿絵を印刷したカードを用意する。これだけで、独立して飾れる日めくりカレンダーである。次いで、それとは別に、同じ寸言だけを印刷した(挿絵なしの)カードを用意する。このカードの余白に、その日の寸言の感想をコラージュ作品にして作成するのである。たとえば「24日」の寸言は、「ささいなことを理由にしてお祝い(会)にする。個人でも教会でも」である。これの応答として、自分のお祝い会をする理由であったり、そのお祝い会の中身であったりの写真を貼り込み、コラージュにするのである。
■ 日めくりカレンダーの世界
話を日めくりカレンダーに戻そう。私の見るところ、まず晴佐久昌英神父の『きっと いい日』(聖パウロ女子修道会、二〇〇六年)が登場し、日めくりのパワーを見せつけた。やがてその魅力は、いのちのことば社に伝播し、みなみななみさんの日めくり作品など、多くの作品が生み出されていった。そして最近では、キリスト新聞社からも、実に個性的な作品が出されるようになった。日めくりカレンダーの円熟期の到来である。
まだまだ新しい独創的な日めくりカレンダーは出てくることだろう。喧噪に満ちた現代社会にあって、日めくりカレンダーは、一瞬の静けさと思い巡らしの時間をとることができるツールである。この恩恵に浴さない手はない。
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