書評Books:神と自分と隣人に向き合うことを優しく教えてくれる言葉

日本ホーリネス教団・東京聖書学院教会 牧師 斉藤善樹

『寄り添いの小みち 日ごとの黙想録』
堀 肇 著
B6判 1,300円+税
いのちのことば社

堀肇牧師の大変霊的深みのある書物です。一気に読む本ではありません。各ページにはごく短い四行から六行の小文が載せられています。互いにつながっているわけではないので、どのページからでも読めます。ゆっくりと少しずつ読むことをお勧めします。
「あとがき」で著者が述べているように、本書の内容は、教会の週報に毎週書き続けたものだそうです。堀牧師が普段祈っている内容、黙想のうちに思索している事々などです。一日一つの文章を読み、その内容を思い返しながら黙想する、それだけで十分かもしれません。それでも、一年以内にゆっくり読了できます。中には少し似たような文も出てくるのですが、それも時間をおくと新たな気づきが与えられます。
書評を書くのにそんなにゆっくりしていられないので、私はまとめ読みをしましたが、「ああ、そうだ、アーメン!」と感じた文章、深く考えさせられた文章に付箋をつけながら読むことにしました。
しかし、読むうちにこのやり方はあまり効率的でないことに気がつきました。間もなく本が付箋だらけになってしまったのです。付箋がついた文に一つ一つ感想を述べたら、それこそ分厚い一冊の本ができてしまうでしょう。
本書は私たちに、神様と向き合うこと、自分自身と向き合うこと、他者と向き合うことに、鋭くて温かな示唆を与えてくれます。慌ただしい毎日を送っている私たちは、さまざまな貴重な経験をすっ飛ばしています。その中に神様からの大切なメッセージがあるにもかかわらず……。そのくせ、いつまでも同じようなことでウダウダと悩むのです。本当は向き合わねばならない自分の内実があるのに、それを避けています。
堀牧師は、私たちの悩みや不安は神様からの宿題だとも言っています。多くの場合、その原因は外にあるのでなく、私たちの内にあります。それを見つけ出すのが宿題です。この本は、あなたの心の眼を優しく開けてくれることでしょう。