視聴CD 乗り越えてきた命の音

視聴CD

乗り越えてきた命の音
ナイトdeライト、ワーシップドラマー/日本バプテスト連盟・札幌新生キリスト教会 ユースパスター 田中満矢

 

CD 「Love & Ballads」
KISHIKO
CD全13曲2,500円+税(48900)
販売元 ライフ・クリエイション(いのちのことば社)
TEL 03-5341-6927

僕は音楽を料理に例えるのが好きだ。この作品はどんな料理だろう。カレーライスで想像してほしい。

「美味しいものはうまい」 食べた瞬間「うまっ!」としか言えない。それが美味しい料理だ。そこに知識の量は関係なく、心地良いものは心地よい。それが料理であり音楽だ。KISHIKOさんのハスキーな声は、深みと色気、優しさでいっぱいだ。土井一郎さんのピアノ、山村隆一さんのベース、マイク・レズニコフさんのドラムと絡み合って生まれる味は絶妙なバランス。それは「歌いすぎないジャズ。弾きすぎないピアノ」とKISHIKOさんが大切にする気持ちの現れだろう。

「この人が作るカレーは他では食べられない絶品」 ジャズの面白さの一つは、いろいろな人がカバーすることだ。今回の収録曲はジャズスタンダードと言われる名曲と賛美歌であり、世界中でカバーされてきた。つまり、楽しんでいただきたいのは「どんな曲?」だけでなく、「この人が歌うとどうなるの?」ということ。カレーはカレーでも、作り手によって味は変わる。KISHIKOさんたちが作りあげた作品の味がどんなものか、味わって聞いていただきたい。微笑みだけではなく、痛みと涙も経て作られた、命がけの料理であることを覚えていただきたい。

彼女は近年、甲状腺癌と戦った。手術のために声帯の周りが傷つき声が出なくなった日もあった。それでも諦めず、歌心は消えないと、見事な復活の歌声を響かせている。復活してからのほうが良いと言う人もいる。乗り越えてきた命が音になっているのだ。そして、ピアノ土井さんはこの収録の後他界し、遺作となった。録音はほぼ一発録り。闘病中にもかかわらず、時にはモルヒネを打ってまでピアノを奏でた。ここにある音は、そういう命なのだ。

KISHIKOさんは言う。「ゴスペルはジャンルではなく神様へ向けての気持ちを表現すること。私は神様から歌をもらったのだから、命の続くかぎりお返ししていきたい」と。そんな感謝と喜び、そして希望の源である福音が絶妙なさじ加減で味を支えている本作品。ぜひご賞味あれ。

 

〈収録曲〉
1 Dream A Little Dream Of Me/2 Day By Day/3 When I Fall In Love/4 What A Friend We Have In Jesus /5 Just The Way You Are/6 The Masquerade Is Over/7 Summertime/8 But Beautiful/9 All Of Me/10 Alfie /11 What A Difference A Day Made/12 Jesus Loves Me/13 Stardust