書評Books 逆視点から見る勝利の鉄則
逆視点から見る勝利の鉄則
日本ナザレン教団・鹿児島キリスト教会 牧師 久保木聡
『悪魔の格言
逆視点からの恵みの発見』
水谷 潔 著
のだますみ 画
B6判 1,100円+税
いのちのことば社
「自分のことは 棚に上げ 人にみことば 当てはめる 悪魔にならって どうすんの?」(本書五〇頁)
ついつい自分のことは棚に上げ、聖書の言葉に従っていないと他人の文句を言うことが私もありますので、「痛いなぁ」という思いで読みました。
冒頭の文章に限らず、かなりいいように悪魔にやられているクリスチャンの現状を、著者の水谷潔氏はユーモアを込めて伝えています。のだますみ氏のイラストが、水谷氏のメッセージをより明確に届けるものとなっています。
さて、そのような悪魔に私たちがいかにして勝利するかについて、悪魔・悪霊との戦いは個人戦でなく、キリスト教会としての団体戦だと書いています(一一一頁)。勝利の鉄則はまさにそこです。
本書の活用術として、悪魔にしてやられているクリスチャンの姿が描かれたイラストに、キリストや恵みを描き込む大喜利を、教会の皆さんでああだこうだ言いながらやってみるのもいいのでは、と思います。
私なら冒頭の文章が描かれたイラストに、キリストが当人の罪を明確に指し示しつつも寄り添い、あきらめずに愛し続ける姿を描くでしょう。そしてまたこの人のため、あきらめず心を込め祈り続ける教会の人々を描き込むでしょう。そして二コマ目には、このクリスチャンが自分の罪を受けとめ、赦された喜びから人を裁くことから自由にされ、キリストと教会の人たちも共に喜んでいる姿を描きます。
どれだけ罪に陥ろうとも、恵みがいや増しに増し加わるイラストに描き換えられるはず。本書が示すクリスチャンが陥る現実を直視しながら、恵みが圧倒する姿を共に味わい知ることもできるはずです。
いっそのこと、この本のイラストをネット上にフリー配布して、自由に落書きしてもらってSNSで拡散していくと、本書の目指す「逆視点からの恵みの発見」はキリスト教界全体の財産としてますます花開くと思えてなりません。
本書から悪魔の罠を知りつつ、共に勝利していくクリスチャンライフを目指していきたいものです。