~Daily Light~ 第21回 遠くの雷

石居麻耶 Maya Ishii

千葉県出身。アーティスト。画家。イラストレーター。東京藝術大学大学院美術学部デザイン専攻描画造形研究室修了。
大学卒業後の個展やグループ展等の展覧会やホームページ、ブログで発表した作品をきっかけに本の装画、週刊誌、文芸誌、新聞連載のイラストなどの仕事を担当。

 

空を飛ぶ鳥は自分がいつ生涯を終えるかとは考えずに羽ばたいていて、野の花は明日どのような天気になるかを考えずに花を開かせている。その伸びやかな姿は目にも心にも美しく穏やかなものに映ります。

10年以上原因不明だった体調不良が宝くじに当たるくらいの稀な難病と判明したのは1年半ほど前のこと。病気の詳細には、容姿の変貌に加え、放っておくと寿命が10~15年ほど短くなること、平均寿命59歳と記されてあり、それが私の人生をどう左右することになるのか、短いのか長いのか、ふと戦国時代の武将の言葉を思い出したりもしました。

周囲の人たちは皆「手術すれば治る」と思っていたようでしたが、さまざまな事例があり、私の場合は重度で治ることはなく、術後も高額な薬物治療をずっと続ける必要があるものでした。このことを打ち明けると、無言になる人もいれば、「聞きたくなかった」と言う人、別れることになった人もいましたが、変わらず接してくれる、心から話せる人たちの存在に支えられもしています。

身近な人たちの中には、難病の人も難病でなくても余命を宣告されている人もいて、余命宣告どおりに亡くなった人もいれば、その後何年も生きている人もいます。心の病や肉体的につらい病を抱えながらも精一杯生きている人。難病だから結婚はしないと決めている人。理解者と共に歩んでいる人。答えのない道のり。人は必ず死ぬということは誰しも同じだけれど、それがいつなのかは誰にもわからない。だからこそ、一日一日を大切にと思わされもします。

病院に行く途中の道。暴風雨のあと、巣から落ちたひな鳥のそばで、小さな赤い花が咲こうとしていました。

「そこに住む者は『私は病気だ』とは言わず、そこに住む民の咎は除かれる。」(イザヤ書33章24節)