書評Books クリスマスの希望を味わう
ニューライフキリスト教会 牧師 豊田信行
『光を仰いで
クリスマスを待ち望む25のメッセージ』
朝岡勝 著
B6判・定価1,760円(税込)
いのちのことば
朝岡勝先生の新著『光を仰いで』を手にした瞬間、帯の「暗夜は終わる」との大きな文字と夜空の向こうに広がりつつある朝明けの薄い光の表紙デザインが共鳴し、「夜空ノムコウ」のフレーズが心に響いてきた。「あれからぼくたちは 何かを信じてこれたかなぁ… 夜空のむこうには 明日がもう待っている」(讃美歌でなくてスミマセン)。
専門家たちは口を揃えて第六波の到来を予告している。また、非常事態宣言が発布されるのか、医療崩壊が繰り返されるのか。いつこの苦しみが終わるのか誰にもわからない。しかし、コロナ禍のなかで迎えるクリスマスは救い主の降誕、「暗闇は終わる」と告げている。
本書には暗闇を照らすまことの光、神の御子イエスの誕生にまつわる二十五のメッセージが綴られている(これだけでスゴイ)。聖書に散りばめられたクリスマスの希望が紡がれ、「眩い光」となって読者の心を照らし、暖めてくれるはずだ。本書を読み終えたとき、救いがより立体的に感じられた。なぜだろう。おそらく、神の愛の広さ、長さ、高さ、深さの理解が広げられたからだろう。神の愛の大きさに圧倒される。
本書ではクリスマスが救い主の降誕だけでなく、王の王、主の主イエスの再臨を待ち望む時であることも語られている(この着眼点がシンセン)。
「やがてイエス・キリストが再び来られるとき、天の都にはともしびもいらず、太陽もいらない。(中略)そこに光輝くのは、私たちの涙も痛みも、悲しみも病いも、死さえもくぐりぬけて私たちを照らし出すまことの光です」(二三〇頁)。
イエスがまことの光となって全世界を照らされる日が訪れる。救い主の誕生を待ち望んだ聖徒たちのように、二十一世紀に生きるキリスト者はイエスの再臨を熱心に待ち望みたい。本書を一気読みしたことが残念でならない。一日ずつ、一つのメッセージをじっくりと読み、黙想することをお勧めしたい。シュトーレンを少しずつ味わうように。