書評Books 日々の黙想を積み重ねて、キリストを知っていく助けとして
キリスト者学生会総主事 矢島志朗
『パウロの手紙
365の黙想と祈り 1』
B6判・定価1,760円(税込)
いのちのことば社
本書は著者の前著『マタイの福音書 365の黙想と祈り』に続き、パウロの手紙(ローマ、エペソ、ピリピ、ⅠⅡテモテ、テトス、ピレモン)からのディボーションを励ます手引書です。
「皆さん、ディボーションはどのようにしていますか?」教会でも学生宣教においても、ときどき話題になるテーマです。多くの人が自分なりの方法で取り組む一方で、もっと良い方法はないか、もっと深く神様と交われないだろうかという声も少なくありません。そんな現代のクリスチャンの渇きに応える書が、篠原さんを通して新たに与えられたことを嬉しく思います。
多くのディボーション手引書が存在しますが、おおむね「その日定められたテキストを黙想し、教えられたことをメモすること」と「解説やメッセージを読むこと」が組み合わされたもので、両者の分量やバランスによって個性が出てきます。本書では、毎日の聖書テキストが一~三節と極めて短いのが特徴です。パウロの手紙全体や各書の解説を意識しながらその箇所をじっくりと黙想し、気づきを書き留めることが勧められています。時間が限られていても、きちんとみことばを味わえ、また時間があればさらに深く黙想をすることが可能です。また解説、問いかけや祈りも簡潔でありながら、信仰生活の核心に迫るチャレンジが毎日記されています。
著者はパウロの手紙を読むことで「『パウロのように、私もキリストを熱心に求めたい』というところまで行かなければいけません」と語り、「一年かけて(いや、一生かけて)、パウロの信仰と霊性を自分のものとする旅を続けましょう」(六頁)と勧めています。本書を手引きに日々黙想を重ねることで、みことばが生活のただ中に響いてくる歩みへと、一歩一歩導かれていくことでしょう。それはまさに著者が言うとおり、キリストを求め、キリストを深く知っていく豊かな旅であると言えます。