楽しく、おもしろく福音を伝えるために ~漫画が持つ力~ 笑う心に種をまく
子どもたちに福音を伝えたいけど、どんなふうにして伝えればいいの? どんな本を薦めればいいのだろう……。
そんな読者の方々の声から、子どもも大人も好きな「漫画」を通して、楽しみながら福音のメッセージを届けることを考えてみました。
漫画なら読むという子どもたち向けに、伝道まんが雑誌月刊『らみい』もご紹介します!
絵本作家 かめおかあきこ
「『百万人の福音』が届いたら、まず最初に『喫茶ホーリー』(*)を読むよ!」
何人かの方に言っていただいた言葉です。わかる、わかる。漫画って最初に読みたくなりますよね。新聞だって、最初に読むのは漫画だよという人もいるでしょう(私もその一人)。どんなに難しい歴史や世界情勢、偉人伝でも、漫画になると読めるという子どもたちも(大人も)多いかと思います。
聖書だってそうです。「聖書は読んだことがないのに、なぜかイエス・キリストのことは知っている」という人は、漫画じゃなくてもどこかで絵画や物語、テレビや冊子などの映像や画像を見聞きしているのではないでしょうか。
文字の羅列は読まないと頭に入ってきませんが、映像や画像は見れば何らかの情報が入ってきます。捉え方はそれぞれだとしても、何かを伝えるには大変有益なツールです。
二〇一三年、「『百万人の福音』に漫画を描いてみませんか」と声をかけていただきました。絵本作家として活動していた私でしたが、高校生までの夢は漫画家になることでした。私のあきらめた夢を、神様がこんな形で用いてくださるなんて!と、驚きとともに深く感謝したことを覚えています。
聖書の中に「兄弟たち。私はあなたがたに、御霊に属する人に対するようには語ることができずに、肉に属する人、キリストにある幼子に対するように語りました。私はあなたがたに乳を飲ませ、固い食物を与えませんでした。あなたがたには、まだ無理だったからです。実は、今でもまだ無理なのです」(コリント人への手紙第一、三章一〜二節)という箇所があります。神様をまだよく知らない人(肉に属する人)に難しい教えを伝えても理解できない、といった意味合いを含んでいます。
私が神様からいただいた使命として受け取っているのは、まだ神様を知らない人に神様に近づいてもらえるような、興味を持ってもらえるような、離乳食のような作品を作ることでした。そのために漫画は絶好のツールでした。それを体験することができたのは、クリスマスのトラクトを描いた時でした。
漫画絵本の形のトラクトは、クリスチャンではない人にも気軽に読んでもらえました。私の父親は(クリスチャンじゃないのに)、娘の作品だからということもあり、いろんな人に配っていました。知人からは、トラクトをまとめた絵本『ちいさなみっつのクリスマス』(フォレストブックス)を子どもが何十回も読んでいるという話も聞きました。いつかその子が神様に出会うための種まきであることを願うばかりです。
そんなふうに、誰でも気軽に読める漫画の力の大きいこと! これが聖書やガッツリした伝道書だったら、そうはいかなかったでしょう。文字を見える化した「絵」という手段を用いることで、意気込まずに手に取ってもらえる、それが漫画や絵本の強みではないでしょうか。
神様を知らない人にも読んでもらえるようなストーリーを考えるにあたり、共感できる内容にするということを意識しました。クリスチャンじゃないとわからないものではなく、日常的に誰でも経験したことがあるようなものです。
読む人に寄り添った内容にすることで、神様をも身近に感じることができるのではないかと考えたのです。
また、あまり生々しくならないようにあえて登場人物を動物中心にしました。なるべく抵抗なく読めるものであり、でも神様のことを伝えるミッションは果たすもの。その中でもクスッと笑える箇所を入れることは、重要なポイントでした。
漫画にもいろんなジャンルがありますが、漫画家を目指していた当時、ギャグ漫画を得意としていました。影響を受けたギャグ漫画があるわけではありません。記憶を辿ると、手塚治虫の漫画に時々差し込まれるギャグにルーツがあるような気がします。手塚治虫の漫画は、どんなにシリアスでドラマチックな内容でも、ズッコケてしまうようなギャグが突然現れるのです。それがさらに漫画の面白さを引き立てていました。ただの難しいだけの漫画だったら、あんなに夢中にならなかったでしょう。一瞬でも力が抜けるひとときは、どんなものにも必要であり、力を抜いた時にこそ重要な情報がスッと入ってくるような気がするのです。
『百万人の福音』に描き始めた漫画『喫茶ホーリー』もそんな存在になってほしいという願いがありました。実を言うと、クリスチャン関連の読み物は難しいというイメージから手に取ったことがありませんでした。そこにちょっと(いや、かなり?)ふざけた漫画があったとしたら、敷居が低くなるような気がしたのです。
仕事の休憩時間のようなリラックスできる存在の漫画。それには喫茶店という設定もぴったりでした。トラクト同様、生々しくならないように登場人物はすべて動物。動物って種類も見た目もさまざまで、神様が作られたバラエティあふれる人間たちを表現するのにぴったりです。「こういう人いるよねえ」「これ私っぽいかも」と思うことで、物語に感情移入してもらえます。昔ギャグ漫画を描いていたことが活かされるなんて、神様のご計画は不思議なものです。今まで身につけてきたすべてが、神様からいただいた財産であって、無駄なものなんてないのですね。
絵本作りにおいて、なるべく文章を短くし、絵で表せるものは絵で描くということを意識しています。漫画はコマ割りをすることができるため、絵本以上に絵で表現できます。そのため文字はほぼセリフのみ。伝えたい重要なことは登場人物が語ってくれます。
これからも、神様が伝えたいと願っておられることを受け取り、漫画に登場する楽しい仲間たちに託し、美味しく食べてもらえる「離乳食」を作っていこうと思います。
かめおかあきこ 好評既刊
とある小さな町のクリスマス。店じまいのくつ屋、大忙しのケーキ屋、ツリーの飾りつけで賑わう広場。動物の主人公たちが、クリスマスの意味を知って心を温める、愛おしい3つのハートフルストーリー。
B6判 定価1,320円(税込)
『喫茶ホーリー』
月刊誌『百万人の福音』人気連載マンガ、待望の単行本化。ここはいろんな人生の集まる場所。あなたも「愛」を一杯いかがですか?
生きていて感じる悩みや疑問に、食いしん坊マスターが応えます。
B6変型判 定価1,320円(税込)