337 時代を見る眼 コロナ禍の賛美〔1〕賛美の種

シンガーソングライター
岩渕まこと

年齢でいえば、私は現在七十凸凹に踏み込んだあたりです。すでに社会人の退職適齢期を過ぎていますが、フリーランスで音楽を生業にしてきましたので、引退は自分自身で決めることとなります。

しかし2年前、コロナウイルスの感染にともない、おかしいくらいにコンサートがなくなっていきました。その時に、自分から引退を決意せずとも引退するということがあるのだなと思いました。

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2011年、東日本大震災の復興支援の一端でも担うことができればと、シンガーの久米小百合さんの声かけで「東北応援団 LOVE EAST」を設立し、活動をスタートしました。活動の中には、支援に行かれるアーティストの皆さんの交通費や生活費をサポートすることと、そのための募金活動が含まれていました。

アーティストの皆さんは、どこかからお給料をいただいているわけではありません。それでも、支援のためにと時間を割き、他の予定を断って出かけてくださったのです。

コロナになってコンサートもままならない中、そんな方々のことが頭に浮かびました。そこで「クリスチャンアーティストサポート」というプロジェクトを立ち上げ、クラウドファンディングで資金を準備し、困窮しているアーティストの方々に支援金をお渡しすることができました。

この活動は、現在も継続中です。しかし、このサポートは一時的で限定的なものです。将来へと繋がる、より根本的なことに寄与できないかと、2021年1月から、クリスチャンカルチャー全体の振興を願って、「CCC〔Christian Culture Connections〕アリシアの森」をオンラインでスタートしました(URL・https://www.arisia.tokyo/)。

私はコロナ禍の2年半、コンサートで歌ったことは20回に満たないと思います。しかし、ボランティアでの支援活動に費やした時間は数えることができません。コロナ禍で教会の会衆賛美からも遠のき、歌うたいであるのにコンサートもなく過ごしてきました。

では、私はこの間、賛美をしなかったのでしょうか。もし歌うことが賛美であるならば、そうかもしれません。しかし、私はこのような活動の中に「賛美の種」があることを見つけました。賛美の種は、日々の暮らしの中にあることを。