書評Books 神のいのちを食むための手引書 『ヨハネの福音書 365の黙想と祈り』

JTJ宣教神学校学長 重田稔仁

『ヨハネの福音書
365の黙想と祈り』
篠原明 著
B6判・定価1,540円(税込)
いのちのことば社

神のことばを読み解き、その意味することを理解するための注解書や、クリスチャンとしていかに生きるかという実用本は数多くあれど、みことばを神のいのちの糧とするための手引書は少ないのではないか。その理由は、神のことばを解説する人間の言葉の多寡にあるように個人的に感じている。
御子イエスは、神のいのち(永遠のいのち)は「御子と、御子を遣わした唯一のまことの神を知ること」だと、ことば少なに証ししている(ヨハネ17・3)。
御子が説いている〝人が神を知る〟とは、〝人が神との交わりに与る〟ことと同義である。この神との交わりこそ『ヨハネの福音書 365の黙想と祈り』がフォーカスしているテーマではないか。
神と人との交わりは、御子イエスにある神との関係の親密さによって豊かにされるが、著者は読者が神との親密な関係を育むためにヨハネの福音書のみことばを黙想し、祈り、〈神のいのち〉すなわち神との交わりを享受するよう私たちを励ましている。
『ヨハネの福音書 365の黙想と祈り』で著者は、読者がヨハネの福音者を1章1節から最終章の21章25節まで余すところなく一字一句を黙想し、祈りに導かれるように、日ごとに句切られたみことばの最後に簡潔な問いと祈りを添えている。
私はこの著者の簡潔で的を射た言葉選びとその意図に感銘を覚える。それは著者が、自らの言葉ではなく神のことばに読者がその心を傾けられるように、徹頭徹尾、手引きしているように感じられるからである。
神のことばが私たちの心にもたらす〝問いとその答え〟は神ご自身が与えてくださるものであると信じる私にとって、この本はみことばを通じた神のイニシアチブによってもたらされる神との関係と交わりを育むための珠玉の手引書である。
心から推薦させていただきたい。