書評Books 息が詰まる世の中への小さな希望の光
日本基督教団・茅ケ崎平和教会 牧師 山田恵子
『光の小径』
花村みほ 文
おちあいまちこ 写真
B6変型判・定価770円(税込)
フォレストブックス
とてもとても小さな本です。たった十五の祈りの本です。でも、その小さな祈り一つ一つに、著者の思いがギュッと詰まっています。
著者とは四十年来の親しい友人です。二つ目の祈り、「どうかほんとうの 私にならせてください」は、著者が十八歳の時、大学の寮の屋上で、生まれて初めて真剣に祈った祈りです。この祈りからスタートしたその人生は、決してたやすいものではありませんでした。
牧師として、夫と共に伝道に励んだ日々。
子どもたちと共に、懸命に生きた日々。
その後訪れた、悲しい別れや新しい出会い―。
この祈りすべては、その荒波の中を浮いたり、沈んだりした日々の中から生まれた言葉です。
「心に空いた穴 そこを吹き抜ける風が
つらくて仕方がなかった
けれど それこそが 開かれた窓なのだ、と
教えていただきました」 (本文八~九頁より)
この祈りの言葉は、人生の苦しみを経験し、人生に疲れを覚える人に、そっと寄り添う一言になるでしょう。
そして、この小さな祈りの言葉を包むのは、かれんな、小さな花々と、緑したたる木々の写真です。
この写真と祈りの言葉が相まって、読む人々の心を、やさしく癒やしてくれます。
クリスチャンではない人たちにも手に取ってもらえるよう、キリスト教的な言葉は出てきません。
遠くにいて会えない家族や、行き詰まっている友に、大切な人々に渡したい小さな祈りの本です。