書評 Books 教会と家庭で取り組む次世代育成のために

東京聖書学院学院長 錦織 寛

『D6
教会と家庭をつなぐ次世代育成ミニストリー』
ロン・ハンター 著
岩上真歩子 訳
A5判・定価1,430円(税込)
いのちのことば社

『D6』という本が出版された。白い表紙にでかでかと「D6」と書かれているから、本屋に平積みされていたらすぐに気がつく。D6のDは英語のDeuteronomyの頭文字だ。これは旧約聖書の申命記のこと。つまりD6とは申命記6章から来ている。そこにはイスラエルがイスラエルであるための、与えられた救いの出来事・その信仰を次の世代に手渡していくための鍵が書かれている。それはイスラエル共同体と家庭で取り組むべきことなのだ。

D6は二〇〇八年にアメリカでスタートしたミニストリーだ。そして、世界各国に、アジアに広がり、アジア福音同盟の肝いりで日本でも始まろうとしている。それは申命記6章を土台として、次世代育成のために教会と家庭が取り組んでいくべきことを整理したプログラムである。土台は聖書なのだから、ある意味、メッセージとしては決して新しくはない。ただ、そこに多くの実例やさまざまな理論・法則など新しい知見が盛り込まれていて、とても新しく響いてくる。

牧師も役員もCS教師も、子育てをすでに終わった人も、今真っ最中の人も、孫伝道に使命を感じている人も、ぜひ手に取って何度も読んでほしい。できれば、教会で何人かで時間をかけて学び会をするといい。多くの具体的な示唆に出会うことができるだろう。この本を読んでいると、ワクワクしてくる。何かが起こりそうな予感がしてくる。何かを始めたくなってくる。

次世代育成は苦手だ、失敗した、どこから手をつけたらいいかわからない、という叫びがあちこちから聞こえる。それを認めることから始めよう。次世代のための働きに長けた働き人たちをそろえたドリームチームを作ることはきっとできないだろう。もちろん、教会にそういう器が送られるように祈るのも悪くないかもしれない。でも、そのために私たちも賜物を与えられ、召され、チャレンジを与えられている、そこから始めたい。この本を読んで、とても新鮮な気持ちを取り戻した思いがしている。