新連載 名画を彩る 今月のお題 「種をまく人」
ジャン・フランソワ・ミレー
1850年/ボストン美術館/USA/油彩、画布/101.6×82.6㎝
種入れをどっしりと抱え、大地をしっかりと踏みしめながら、大手を振って威勢よく種をまいている農夫。背後の太陽が大地から昇りはじめ、一日の天空の動きのダイナミズムを感じさせます。
荒野と思えるような貧しい畑に、一人の農夫は何を思って種をまいているのでしょう。それは、未来の「パン」のためです。その「希望」がなければ、男のやっている作業は徒労に終わり、惨めさだけをもたらします。しかし、「希望」があるからこそ、この厳しい作業にも意味があり、後には報いを得ることができるのです。
しかし、そう簡単に種が育つわけではありません。男の背後には無数の鳥が飛んでおり、種を食い尽くすこともあります。太陽の光も強過ぎて、雨を降らせないこともあります。足もとの土からは雑草が生え、種の成長を押しつぶすこともあります。種には敵がたくさん存在します。それでも、この男が種をまき続けるのは、中には良い地に落ちる種があり、一つの種が地の中で育つことができれば、その種は数えきれないほどの実を結ぶからです。
イエスはこのたとえの意味を明らかにしています。種とは神のことばであり、それはいのちそのものです。そして四種類の土地とは、神のことばを聞く人たちの心を表しています。(出典『巨匠が描いた聖書』)
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