時代を見る眼347 信仰継承と宗教2世〔2〕対話による信仰継承
日本メノナイトブレザレン教団
石橋キリスト教会 牧師
船橋誠
旧統一協会問題から、他の宗教団体を含めて「宗教2世」のことが社会的関心を集め、メディアでも取り上げられるようになりました。「宗教2世」の元信者の証言で、子どもへの躾と称して体罰の「鞭打ち」が行われたり、団体を排斥された人々を避ける「忌避」行動など、「宗教虐待」と言われる児童虐待がなされたり、子どもたちの権利やいのちが脅かされている事実が明らかになりました。
子どもの人格を無視し、強制的で一方的な教義の押しつけがされているそうした現実は、私たちキリスト教会とも無関係なことではありません。かえって信仰教育について考える機会としなければならないと思います。「強制」でも「押しつけ」でもなく、かと言って「放任」でもない、聖書的で健全な次世代への信仰継承とは、いったいどういうものなのでしょうか。
私は、「4/14(フォー・フォーティーン)」という子ども伝道の超教派的ムーブメントによる働きを、2020年から関西で志を持った数名の方々(牧師・教団や宣教団体スタッフ)とともに始めました。そこでは、牧師や教会学校教師等を対象とした研修会を行っています。これまで、子どもや青年宣教分野でのエキスパートを講師に迎え、学びの機会を持ってきました。その中で私自身が教えられたことの一つは、次世代宣教にとって大事なことは、しっかりと「対話する」ということでした。
「あなたがたの子どもたちが『この儀式には、どういう意味があるのですか』と尋ねるとき、あなたがたはこう答えなさい。『それは主の過越のいけにえだ。主がエジプトを打たれたとき、主はエジプトにいたイスラエルの子らの家を過ぎ越して、私たちの家々を救ってくださったのだ』」(出エジプト12章26、27節)。なぜ、これらの儀式をしなければならないのですか、という子どもの素朴な疑問に対して、ユダヤ人は神の救いの御業の物語をていねいに語りました。
真理の伝達には、ことばのキャッチボールが何よりも必要であることがここに教えられています。一方的に教えることは容易ですが、子どもに真正面から向かい合って対話していくことは、面倒で手間のかかることであり、難しいことだと思います。しかし、そこにこそ交わりが生まれ、「キリストのからだ」としての相互的成長が促進されていくことを私たちは知っています(エペソ4章16節)。