書評books 一人の子どもを育てるのには教会みんなの力が必要

福音伝道教団笹塚キリスト教会牧師/聖契神学校教師 松原 智

 


『キッズ&ファミリーミニストリー ハンドブック』
サラ・フラナリー 著
杉本玲子 訳

A5判・304頁
定価2,750円(税込)
いのちのことば社

 

アフリカには「一人の子どもを育てるのには村中みんなの力が必要」ということわざがあるそうですが、「村中」を「教会」に換えると、「一人の子どもを育てるのには教会みんなの力が必要」となります。本書を読みながら、このことばが私の心に浮かびました。
本書では、ファミリーミニストリーの大原則として、「1.対象は、子どもとその親である。2.ファミリーミニストリーの中でのすべてのプログラムは、神と家族の関係、また互いの関係を強めることを目的としている」(本文二〇頁)とあり、これを「世代を超えたミニストリー」と記しています。まさに教会は神の家族であり、そこには全世代がいて、その中で世代を超えて愛し合い、助け合い、祈り合う姿があるのです。
本書では、そのようなコンセプトに基づいて、全世代の多様な人々を神の家族として受け入れ、ミニストリーを展開していくために必要なことが記されています。タイトルに「キッズ」とあるように、子どもの年齢に応じたミニストリーの具体例がたくさん取り上げられていて参考になりますが、それだけではありません。さまざまな背景を持つ家庭、障がいを持つ子ども・大人、高齢者など、多様な人々を礼拝に迎え入れるための具体的な提案や配慮が、現代の状況をしっかりと踏まえたうえで記されています。
本書を読んでいるとき、次のみことばが心に響いていました。
「―万軍の主はこう言われる―再び、エルサレムの広場に、老いた男、老いた女が座り、みな長寿で手に杖を持つ。都の広場は、男の子と女の子でいっぱいになる。子どもたちはその広場で遊ぶ。」(ゼカリヤ8・4、5)
老若男女が集まり、そこには笑い声がある、そんな教会のイメージが浮かびました。
本書を、教会学校の教師だけでなく、親、牧師、そして教会に連なるすべての人に読んでいただきたいと心から願います。なぜなら教会は、神の家族、ファミリーだからです。