書評books 今日のこの日まで、ずっと私の羊飼いであられた神
クリスチャンライフ成長研究会(CLSK) シニアアドバイザー 太田和功一
『魂の配慮に出会う旅 スピリチュアル・ジャーニー その後』
坂野慧吉 著
四六判・144頁
定価1,760円(税込)
いのちのことば社
著者の坂野さんと筆者は、お互いの壮年期から三十年にわたる親しい友としての交わりの恵みを与えられてきましたが、本書を通して、幼年期から少年期、そして青年期の坂野さんにも出会うことができ、友としての交わりが一層深まったように感じます。と同時に、坂野さんの人生と信仰の旅路をずっと同伴してこられた三位一体の神の導きのみ手を見ることができ、坂野さんがされたように自分の人生と信仰の旅路をもっとていねいにふり返ってみたいとの願いが湧いてきました。
本書はその副題が示すように、一九九九年に出版された『スピリチュアル・ジャーニー―福音主義の霊性を求めて』(いのちのことば社)の続編です。前著が一九九四年に著者が参加したリトリートでの深い霊的経験から始まった人生と信仰の旅のふり返りであったように、本書も二〇〇一年に著者が参加した二つのセミナーでの経験と、二つのセミナーの間にヨーロッパの各地を巡った旅での出会いのふり返りが中心となっています。その中で、幼少の頃の経験や、青年期に信仰を持ち献身に導かれて牧会者となった「自分の人生から学ぶ」ふり返りも織りなされます。
前著における旅のテーマは、神と人との友としての交わりを通しての自己発見でしたが、本書に描かれた旅のテーマは、キリストによる真の人間性の回復であると著者は述べています。
本書の中で特に第2章の「旅日誌を書くということ」と、第3章の「自分の人生から学ぶ」、また、第4章の「静かな黙想への招き」は、読む者の心に著者が経験したことを自分も持ちたいとの願いを呼び起こしてくれます。
また、第13章の「コロナ禍がくれた黙想のたより」は、詩篇23篇、139篇、103篇の黙想ですが、著者の人生と信仰の旅路の思い巡らしがみことばの黙想と深く結びついているように思います。
「黙想とは聖書のストーリーと自分の人生のストーリーが出会うことである」と言われた、ハンス・ビュルキ氏の言葉を思い起こします。