特集 チャリティへの手紙

チャリティへの手紙
絵本作家  河井ノア

 

愛するチャリティ、小さな麦わらぼうずだった頃からあなたの夢は、役に立つ立派なカカシになることでしたね。ファーマーさんの畑はとても広いので時間はかかりましたが、私はこの物語に登場する他のカカシたちにインタビューを試みました。それぞれに聞いてみたかったのは「チャリティは立派なカカシだったか?」ということです。
まず、北の畑に立つコールドマンを訪ねたのですが、辺りに漂うトゲトゲしい空気に思わず身震いしてしまい、正直近寄れませんでした。でも、一言だけコメントを頂きました。「フン!」でも、私はその後つぶやいた大切な言葉を聞き逃しませんでした。「アイツはクソやさしいバカカカシだ!」……「やさしい」って言っていましたよ。聞き間違えでなければ。
次に東の畑のプライドルにマイクを向けました。プライドルは、ずーっと自慢話をしていて、私の質問など七色リボンで切り刻まれてポイッ! です。でも、プイッと横を向いて「チャリティはイイコアンポンターン!」と叫びました。確かに「イイコ」と言っていたような……。聞き間違えでなければですが。
次にたどり着いたのは南の畑。そこにいたのは、アイアンロックです。私が「チャリティについて……」と言い終わらないうちに、頭から熱い湯気がシュポーシュポーと吹き出して、差し出したマイクはもう使いものにならない程です。チャリティのことを考えるとあんなに興奮してしまうんですね。でも、彼は「お人好しチャリティにストロー電話をかけてみたゾォ~!」とイナズマみたいな声で言っていました。あなたのことが気になっていたみたいですよ。それぞれが言っているのが、立派という意味なのかよくわかりませんが、チャリティへの愛はしっかりと感じました。
今、あなたがいた西の畑にはラッパの名手、ラッパッパーが立っています。「チャリティに会いたかったなあ」としみじみ西の空を見上げていましたよ。
それからメロディー。彼女とはストロー電話で少し話せました。何だかとても嬉しそうに「チャリティとはいつもいっしょよ。大好き! 大好き!」って……。二人の幸せが伝わってきました。
カカシたちの他に、白カラス、小さな子スズメ、イノシシ、野ネズミ、イナゴ、シカの親子……。たくさんのインタビューを通して分かったのはチャリティ、あなたは愛を配るカカシだということです。そして、あなたは間違いなく立派なカカシだということです。
私もあなたが大好きです。