書評books 私の賛美の源がここに

フルート奏者 紫園 香

 

『あなたがいつも聴いてくださるから
主イエスと祈り、心をつなぐ366日』
サラ・ヤング 著
佐藤知津子 訳
四六判・404頁
定価2,640円(税込)
いのちのことば社

私は今、深い感謝とともにこの著書を抱きしめている。昔からずっとサラ&知津子の名コンビによる『わたしは決してあなたをひとりにしない』を日々のディボーションとして愛読し続けてきた私は、サラ先生がお亡くなりになった年に出版された本書を、先生の人生を懸けた遺言として受け取っている。肉体は老いて弱くされるが、霊はますます研ぎ澄まされ日々新しくされる、そのようなキリスト者としての麗しさが全編に満ち溢れている。
人生の嵐に翻弄される中、私たちにとって最も大切なことは何だろうか。それはイエス様が必ず共におられ、私たちのどのような小さな祈りも、全て聴いてくださっていることを信頼し実感することではないか。私はサラ先生の著書を通して、イエス様との距離が本当に近くなった。
この作品は、生涯を通してイエス・キリストと呼応したサラ先生の祈りの呼吸そのものだ。日々の気がかりなことを全てイエス様の元に携えて行き、イエス様との時間を楽しんだその呼吸が聞こえてくる。そしてその息がPneuma(プネウマ・聖霊の風)として私の体内に吹き渡ってくる。
「心を尽くして主に拠り頼め。自分の悟りに頼るな」(箴言3・5)。彼女はこの聖句を、自分の日々の生活に対する挑戦だ、と述べている。物事を自分で解決したい――つまり自分の人生は自分が支配したいという貪欲な欲求があることを率直に認めている。「ご主人である『あなたを捜し求める』かわりに、なんとか自分で理解し決着をつけようとやっきになる」自身を告白している。そして神に赦しを乞い、「何よりも『あなたを求める』ように」助けと導きを祈り求めている(387頁)。イエス様に目を向ければ向けるほど、イエス様はかけがえのない平安を与えてくださる――その真実を、素直にまっすぐイエス様に祈り求める姿勢こそが、「ゆだねる」とは何かを教えてくれる。そしてそれが私の賛美の源となってくれている。
佐藤知津子氏の名訳により、サラ先生のことばの霊的な深み・瑞々しさが馥郁と香ってくることにも改めて感謝申し上げたい。