連載 ひきだしの中の信仰 第6回 神さまが、知っていてくれる
イラストと ことば
林 くみこ
グラフィックデザイナー。「よきおとずれ」を運び、互いに祝福し合うために用いてください、という願いをこめて、聖書のメッセージやみことばからイメージしたイラストのポストカードをゆるゆる制作中。東京・奥多摩にあるクリスチャンキャンプ場・奥多摩福音の家スタッフ。
今月の聖句
ルカの福音書12章7節
このイラストのきっかけをくれたのは、信仰の恩師である女性宣教師だ。彼女自身は美しいクロスステッチ作品を作る人で、わたしのポストカード制作もいつも楽しみにしてくれていた。その彼女が持っていた数字が髪になった女の子の刺繡から、この作品が生まれた。
あなたの髪の毛の数さえ数えられている=あなたのことはすべて知られている。もしも、相手との関係が一方通行なら、それは安心できるというより怖い。けれど聖書は「だから、恐れることはない」と続いている。聖書の世界での「知る」が、ただの知的理解として知っていることではなく、関わりがあること、深く人格的な交わりを持っていることを意味するからだろうか。神さまはどこか遠くに離れているのではなく、いつも寄り添い、関わってくださる方。人間となってこの世界に来られたイエスさまは、苦しみも悲しみも全部知っていてくれる方。わたしにとって、雨の中に傘をさしかけて、共に雨宿りをしてくださるような存在だ。
2020 年、日本での働きに区切りを迎えた彼女が、ドイツに戻る直前の礼拝で、わたしたちは神の同労者なのだと、教会を励ましてくださった。言葉も文化も違う遠い国に遣わされ、40 年間、日本とこの国の人たちを愛してくれた姿は、彼女と共に生きておられた主の愛が溢れていた証しだと改めて思う。たびたび枯れそうになる信仰に水を注ぎ、時には雑草を抜く。言葉だけでなく、主の愛に生きる人たちを通して、寄り添ってくださる方を「知る」ことができる。