書評books 肩肘張らずにがんばれるように

巡回伝道者・日本長老教会教師 森 和亮

 


『牧師夫妻のがんばらない「恵老」生活
夫は人工膀胱、妻は人工肛門』
中村寿夫 著
B6判・224頁 定価1,760円(税込)
フォレストブックス

 

著者と評者の関係
著者と私は共に、日本長老教会、神奈川中会所属の同年輩の教師仲間であり、長年近くにいて牧師として働いてきた戦友とも言える親友です。この本で明かされているとおり著者は膀胱がんを患いましたが、ほぼ同じ時期に私も前立腺がんを患い、共に全摘手術を受けるという共通の経験をもっています。そして、この本が著者の初めての著書とのことですが、私も二〇二一年に初出版(二〇二三年に続編を出版)しましたので、早速進呈していたこともあり、この度この本を真っ先に贈呈してくださり、その上書評を書くようにご依頼がありました。

一読した印象
著者は二十数冊もの翻訳をしてこられたこともあって、さすがに文章は読みやすく、知らず知らず読まされてしまう、自然な説得力があります。

この本の特色
この本は、著者の正直な告白が内容です。「まえがき」に「この本を通じて、私たちの変哲もない毎日を知っていただくことが、どれほどお役に立つかはわかりませんが、『こういう夫婦もいるんだな。自分たちもがんばってみるか』などと少しでも思ってもらえれば、うれしく思います」(六頁)とあります。本のタイトルに「がんばらない」とあるのに? でも、読者が気がついてみたら肩肘張らずにがんばれるようになったという効果を期待されているのかもしれません。また「時々、説教調になってしまうところもありますが、それも牧師である私のひとつの姿でもありますので、どうかお許しください」(同頁)ともありますが、「よくもおっしゃった」と思いました。確かにそれも一つの特色になっていますが、こう言われると微笑ましく受け取れてしまいます。著者は憎めない(?)模範的な牧師先生です。