連載 リラ結成30年 いつまでも賛美をこの口に 最終回 すばらしいHoly Night 宮脇(若林)栄子

LYRE(リラ)
1993年に東京基督教大学の神学生たちによって結成された賛美グループ。卒業後、コンサート活動をしながら、6人のメンバーは各々のところへ遣わされ、主のみわざに励んでいる。

 

「すばらしいHoly Night」は東京基督教大学在学時、学園のクリスマス祝会で発表するために作った。当時曲を作りながら「いつかたくさんの子どもたちが歌ってくれたらいいな」と思っていた。今では教会や幼稚園、保育園のクリスマス賛美として用いていただいていることを聞き、うれしい気持ちでいっぱいになる。
幼稚園で歌ってもらっているからか、この曲を歌うと自分の幼稚園時代を思い出す。
私が通っていた幼稚園はキリスト教系の幼稚園で、毎年クリスマスには市民会館を借りてクリスマス劇をしていた。たくさんの人に見てもらう年に一度の大イベント。子どもたちのクリスマス劇への期待は先生が選んだ配役発表から始まる。女子たちの憧れの役はもちろんマリア、そして御使いガブリエル。きれいな衣装に憧れて、私もメインの役になりたいと密かに思っていた。「マリアやガブリエルに選ばれるのは頭がいい子みたい」とか「お母さんが役員をやっている子らしい」、女子の間ではそんな噂話もちらほら流れてきた。
ドキドキの配役発表日。
私の役は羊飼いに面倒を見てもらう羊だった。セリフと言えば「メーメー」鳴くだけでがっかりしたことを覚えている。見事マリアに選ばれた子を見て「やっぱり賢くかわいい子が選ばれたんだ、どうせ自分みたいな取り柄のない子には無理なんだ」とうらやましく思った。今思うとあんなに幼いながらも自分に自信がない気持ちを持っていたのだと驚く。少し切ないクリスマスの思い出。

「どうせ自分は」。羊飼いたちもそんなふうに考えることがあっただろう。当時の羊飼いという職業は一番低い地位にあり、貧しい人が就く仕事だったと聞いたことがある。しかし神様は羊飼いを「特別」に選ばれた。救い主誕生のニュースを一番初めに聞く「特別」である。天の御使いから知らせを受け、赤ちゃんのイエス様に会いに行った羊飼いたちは喜んで賛美しながら帰ったと聖書にある。
そこにはもはや「どうせ自分は」という自分の身分や状況を嘆く思いはなく、神様への感謝と喜びがあふれていただろう。
あの頃マリアに選ばれず、白セーター白タイツでメーメー鳴く羊役にがっかりしていた幼稚園時代の自分に伝えたい。
「羊の役、最高よ! 羊飼いと一緒に一番初めにイエス様に会えたんだよ。それって特別素敵な役だよ。そして、何も取り柄がないって思っているあなたは、神様にとって特別な存在なんだよ。」

すばらしいHoly Night
詞/曲 若林栄子

夜空に輝く 天の使いたちが
羊飼い達に知らせた喜び
待ち望んでいた 祈り続けてきた
救い主が今日お生まれになった

羊飼い達の喜びは 歌とかわって
星空の下に ひびくよ
すばらしいHoly Night

小さな馬小屋 かいばおけの中で
静かに眠っている救い主イエス様
天の神様が 愛するひとり子を
人の罪のためにこの世に送られた

羊飼い達の喜びは 歌とかわって
星空の下に ひびくよ
すばらしいHoly Night

ありがとう神様 心からありがとう
わたしたちの為に
イエス様をありがとう

わたしたちの喜びは 歌とかわって
星空の下にひびくよ
すばらしいHoly Night
La La… すばらしいHoly Night

©Eiko Wakabayashi