363 時代を見る眼 私たちの賛美 コロナ禍を越えて〔3〕 これからの賛美
日本同盟基督教会 多治見中央キリスト教会
山本陽一郎
音楽は「メロディ(旋律)」「リズム(拍子)」「ハーモニー(和音)」という3つの要素で構成されます。では、賛美で重要なのは何でしょうか。あらゆる要素が大切であることはもちろんですが、歌詞のある賛美歌について言えば、重要なのはまず「ことば」であり、祈りのことばとしての歌詞をよく味わうことです。テーマやメッセージを心に留めつつ、歌詞に自分の思いを重ねながら主に向かって賛美する時、メロディや和音の響き、リズムなどすべてが豊かに調和していきます。
ところで、賛美歌の中には、今日まで長い間歌い続けられているものが数多くあります。私は「主よ、われをば」(『讃美歌』333番、『讃美歌21』529番)という19世紀の賛美歌がとても好きです。歌うたびに深く感動します。
ただ、神を賛美するのにふさわしい歌は代々の聖徒たちの歴史的遺産だけ、ということはありません。新しい歌は次々と生み出され、国内外の優れたワーシップソングも広く歌われています。教会や教団教派によっても、さまざまな賛美歌が用いられています。
ある中学生がポツリと言いました。「礼拝で歌っている昔の歌は、歌詞のことば遣いが自分たちと違うから、かみしめて歌えない。もっと心から賛美したいよ。」一方、上の世代の方の中からもこんな声が聞こえてくることもあります。「若い人たちの歌う曲、いいなぁと思っても、私たちあのリズムになかなかついていけないのよ。」
賛美は主へのささげものです。自分と異なる世代や文化の否定よりも、敬意をもって、配慮し合う心を忘れないことがとても大切です。それは、キリストの教会を愛するということです。教会にはあらゆる方が集います。中にいる人には慣れた曲でも、次世代や教会の外の人には距離や違和感があるという場合もあります。これからの賛美を考えることは、次世代の信仰育成や宣教の観点からも有意義でしょう。
世界の歴史は賛美史でもあります。ダビデは全力で踊り、竪琴を奏でました。イエス様は十字架の前夜、弟子たちと賛美を歌って出かけました。長い時間をかけて発展したグレゴリオ聖歌。教会の合唱伴奏に用いられるようになったオルガン。ジュネーヴ詩篇歌を歌いながら宗教改革を推し進めたキリスト者たち。そして、みことばに応答して賛美歌を歌い継いだ日本のキリスト者たち。私たちも今、その賛美史の中にいます。これからの賛美を共に作っていきましょう。