特集 『聖書難問注解 新約篇』紹介
3月発売予定の新刊『聖書難問注解 新約篇』の内容を一部抜粋でご紹介します。
※詳細は本誌最終ページをご覧ください
荒野の試みはどのような順番で行われたのか(ルカ4・1~13)
ルカ4・1~13におけるイエスが受けた誘惑(あるいは試験)の記述を、マタイ4・5~10におけるそれと比較するならば、それらの順番が違っていることにすぐに気がつく。……重要なのは、順序の違いが何を意味しているのかを見極めることである。……
マタイは、イエスとイスラエルの間の類似点を非常に意識している。……イスラエルのように、イエスは試みを受けるために荒野に導かれる(この御霊の働きの目的を強調しているのはマタイである)。イスラエルのように、四十日の断食がある(イスラエルの場合、モーセだけが断食したようだが)。イスラエルのように空腹によって試みられ、神の約束を試すことによって試みられ(マサでのように。マサは「試み」を意味する)、そして偽りの神々によって試みられる。イスラエルと違い、イエスは毎回、試験に合格する。イエスはイスラエルの失敗をすべて克服したのである。……
ルカの主要な関心は旧約聖書の成就にはない。ルカのイメージは、神の国がサタンの国を侵略するというものである。……
この物語の中には時々、イエスがエルサレムに向かう旅でどこにいるのかを示す記述がある。ここに、神の御子がおられる。いわばサタンの王国の端から出発し、最後の対決、救いの歴史の最後のドラマが繰り広げられる中心へ着実に近づいて行かれる。……試験の物語は、この動きを縮小して展開したものである。……
どちらのイメージも真実であるが、どちらもそれ自体では完全ではない。どちらかのイメージでも欠くならば、もっと不十分になるだろう。だからこそ、それぞれの福音書をそれ自体として読み、各記者が主張する特徴的なメッセージを受け取って、そこに描かれたイメージを理解することが重要なのである。もし均質化された一致を得るためにそれらを溶け込ませようと試みるならば、各書の独自の貢献は失われ、神の霊感によって書かれたとクリスチャンが信じる書から、単なる歴史についての関心に移ってしまう。自分の興味をテキストに押しつけるのではなく、各記者の声に耳を傾けるならば、彼らはそれぞれに任せられたイエスについての福音の側面を語り、それが私たちの益となる。
(『聖書難問注解 新約篇』一八四ページより)
おすすめ!『聖書難問注解 旧約篇』
『聖書難問注解 旧約篇』に寄せられた推薦の言葉と、実際に購入し、
用いている方の声を集めました。
聖書は、神様のおことばです。わかりやすい箇所も多くありますが、当然のこととしてわかりにくい箇所もあります。他の箇所の主張と、矛盾しているような箇所に出くわすときもあります。そのようなときに私たちは、恐れを抱きやすいのです。私たちの聖書観である「聖書は誤りのない神のことば」という確信が、揺るがされるように思うからでしょう。そのようなときに、ぜひこの書を読むことをお勧めします。一生懸命に説明してくださっている担当者の解説を読むことによって、聖書は神のことばであるという確信が、必ず励まされることが多くあると思います。
国際福音センター東小金井チャペル 牧師 小山田格
簡易な入門書とは別格な、神学や言語の裏付けに基づいた詳細な注解であることは一読瞭然。仮に納得できる唯一の答えが出なくとも、考えるための情報と道筋が満載です。ペーパーバック分冊の原書を神学生時代から苦労して使ってきた者には、夢のような邦訳。みことばと向き合う牧師の七つ道具、主を愛する信徒の得難い助けとなることでしょう。
聖契神学校校長 関野祐二
好評発売中
『聖書難問注解 旧約篇』
ウォルター・カイザー Jr、ピーター・H・デイビッズ、F・F・ブルース、マンフレッド・T・ブローチ 著
A5判 上製 528頁 定価5,940円(税込)
他の注解書と比べて、興味深い内容が項目ごとにまとめられているのが面白いと思い購入しました。買ってよかった! と思います。聖書通読の助けに使います。〔女性〕
いろいろな発見があって、聖書を開くのがより楽しくなりました。ただ、「新約を参照」という項目が結構あるので、新約篇の出版を待ちわびています。
〔男性〕
文字の大きさが読みやすい。これは重要で大変助かっています。内容が充実している他の聖書注解と異なって、誰もが思う素朴な疑問、それでいて答えが見つからない難問に見事にこたえてくださっている。新約篇も楽しみにしています。〔男性〕
そもそも、聖書を読み進める中で矛盾や疑問に思うポイントがこんなにもあるんだ、というのが率直な感想です。聖書の記述の背後にどんな出来事があり、どういう意図があったのか、ということがわかってよかったです。〔性別回答なし〕
金額と厚さに少し躊躇しましたが、思い切って近くにあるキリスト教書店で購入しました。内容は、少し難しいところもありましたが、概ね納得できました。〔男性〕
答えを導き出すというよりはきっかけを与えてくれるという印象でした。答えはこれ! という明確なものを求めている人には少し肩透かしをくらったように感じるかもしれません。ただ個人的には、それにまさる発見があったので満足です。次に出る新約篇のほうが厚くなると聞いて驚いています。〔男性〕