書評books キリストに結ばれた教会形成への確かな指針

日本キリスト改革長老教会・東須磨教会 牧師 坂井純人

 


『教会とは何か (クルーシャルクエスチョンズ)』
R・C・スプロール 著
老松望、楠望 訳
B6判・76頁
定価990円(税込)
いのちのことば社

 

本書は「クルーシャルクエスチョンズ」シリーズの一つです。主に、三位一体の神を告白する公同信条のニカイア・コンスタンチノープル信条に謳われるキリストの教会の四つの属性を中心に教会の本質を読み解いています。教会の四つの属性とは、唯一性、聖性、普遍性、使徒性です。
唯一性は、教会の起源が、唯一の三位一体の神に由来する事実を告白しています。教会の出発点が神の召しにあり、教会が主の所有とされた存在であるからこそ、聖性もまた、聖なる神の聖い目的に即して、頭なるキリストとの結合を通して与えられる賜物です。地上の教会は、不完全で、完全な聖性へと向かう途上の姿ですが、教会の起源であり、ご自身の愛と聖性の内に教会を聖別される神は、罪の赦しと聖めを聖霊により与え、終わりの日にキリストとして花嫁を完全に聖めて、御前に立たせてくださいます。
また、主の教会は、全世界の歴史、国民、言語を通じて構成される普遍性(公同性)を持ちます。各個教会は、この公同の教会の一つの枝として、個別の存在意義と連帯に結ばれています。毎週の礼拝で天と地を結び、歴史を貫く神の会衆に属していることを知ることは本当に幸いです。
これらの属性の内実を実質的に担保するのは使徒性です。いわゆる「見えない教会」と「見える教会」の一致点もここにあります。使徒性は、宗教改革者たちが、見える真の教会のしるしとして挙げた「御言葉の正しい宣教」「聖礼典の正しい執行」「恵みの訓練」(「戒規」)の忠実な執行により、内実が明らかにされます。
本書は、現代の宗教多元主義の影響により、信仰告白の意味が多様な解釈に解体され、事実上、信条の文言が実質化されず、真の一致が損なわれていく事例に警鐘を鳴らしています(六八~七〇頁)。「真理によって彼らを聖別してください」(ヨハネ17・17)との主イエスの祈りが本書を通して、心に響き渡ります。本書は、読者が「教会とは何か」を理解し、キリストの体の一部として、その部分を建て上げる尊い召しを思い起こし、献身する祈りへと導かれる確かな指針となるでしょう。