連載 New Life, New Light 第3回 ニューボーンフォトの魅力
フォトグラファー
辻まき子
三重県在住。東京基督教大学卒業。photo studioハナレ所属。2016年からニューボーンフォトや家族やプロフィール撮影を中心に、その人らしい自然な姿を残せるよう心掛けて撮影しています。
Instagram@maccopiでは日常の写真をご覧いただけます。
ちいさな足、これまたちいさな爪、ぎゅっと握り返す手。ぷっくりとしたおしりに蒙古斑、ツンとしたくちびる。これまで700 人ほどの新生児を撮影してきましたが、こんなにもかわいく愛おしい瞬間があるのかと、毎回感動しています。
そんなかけがえのない新生児期(※)は、日本では家で過ごすよう言われていますから、ニューボーンフォトは“ 家” というパーソナルな空間でさせていただく特別な撮影です。実際の撮影では、産後で寝不足状態の方も多くいらっしゃいます。
ママになった友人たちの話をじっくりと聞いていくと「愛する我が子なのにまっすぐ愛おしいと思えない時もある」と打ち明けてくれます。それどころか、思いもよらない悲しい感情が湧き上がることもあるそうです。どんなに素敵な人にも、弱さがあって当然のようです。
先日の写真展で、父から「この頃のこと全く覚えてへんわ」と言われたことも思い出します。これもまた、多くの親から耳にすることで、何もできないちいさな命を養うには、目まぐるしい日々があるのです(もちろん喜びも!)。
「あぁ、あなたを抱っこできて嬉しい。そのすべてが愛おしい」という確かにあった思いや、いつか忘れてしまうかもしれないその眼差しを、写真という形で残したい――
それが、私にできる役割なのかもしれない(こういうことを言うのは恐縮ですし、そう思うことが素晴らしいと押し付けることはしたくないのですが……)。
親になった一人ひとりが、当時の自然と湧いてきたありのままの思いを、写真を通して思い返すことができますように。訪ねるご家庭に“ いつも平安がありますように” と祈り、今日もまた撮影の準備をしています。