書評books 福音の稜線を行く祈りの手引き書
所沢聖書教会牧師 横田俊樹
『ニュークラシック・シリーズ きょうの祈り』
F・B・マイアー 原著
小畑進 編著
四六判・400頁
定価2,750円(税込)
いのちのことば社
敬愛する小畑進先生の『きょうの祈り』は、私が二十一歳のとき、受洗記念に頂いてから十年以上、牧師になってからも何年にもわたって読ませていただきました。この種の本にはいろいろな読み方があると思いますが、私自身は毎朝一日分ずつ、味わい、反芻して読むようにしていました。繰り返し読むことで気づいたことも、少なくなかったと思います。
今回の復刻版は、まずサイズですが、旧版より一回り大きくなり、新改訳聖書の中型と同じサイズになっています。ハンディな旧版と比べて好みの分かれるところですが、その分、本文は行間が広く、読みやすくなっています。
文章は、簡潔でキリリと引き締まっていながら、身近で親しみやすく、どこかユーモラスなところもあり、思わずくすっとするところもあります。肩ひじ張りません。霊の糧を、美味しく食べやすく料理してくれています。
それでいてベースとなっている神学は、高く広く深く、かつバランスがとれています。父なる神、御子キリスト、聖霊なる神への適切な言及、神の主権、永遠の選び、聖化、聖徒の堅忍、再臨、天の御国の希望、等々。これらを生硬な理屈でなく、見事に消化して、主との生き生きとした交わりの中で交わされる、身近な言葉に落とし込んでいます。
そして、キリストのどこまでも深く尽きることのない救いの恵みに立ちながら、安っぽい恵みに流れず、もちろん律法主義にも落ちず、福音の稜線を踏みはずすことなく、恵みを正しく受けて、きよさと献身において常に前進するよう導いてくれます。人間の弱さを十分に踏まえながら、十字架を負って主に従うよう励ましています。人間についての洞察の深さも本書の魅力です。
本書はそのような祈りの手引き書です。
著者の小畑進先生は、口先だけで高邁な思想を語るのでなく、まさしくこの本に書かれているように生きられた方だと思います(控えめに言って、ですが)。同師を心から尊敬するゆえんです。