NEWS VIEWS FACES 映画「マザー・テレサ」8月に主要都市で公開
礒川道夫
ライフ・エンターテイメント チーフ・プロデューサー
誰でも祈るという使命があることを教えてくれる
日本で尊敬するクリスチャンの名をあげて下さいと言ったら、きっと「マザー・テレサ」の名前をあげる方々は多いと思う。それだけ彼女の生き方は、日本人の心を捉えている。彼女はノーベル平和賞を受賞したことで一躍時の人になったが、彼女の働きで有名なのは「死を待つ人の家」だろう。彼女はこの家の開設の際に、「この世の最大な不幸は、貧しさや病ではありません。誰からも自分は必要とされていないことです」と語った。
SMAPの「世界に一つだけの花」や「きみは愛されるため生まれた」(ライフ・ミュージック)の曲がヒットするには、逆にこういった「自分は誰からも必要とされていない、見捨てられた状態」が日本にあるからではないだろうか。この映画を観れば、「自分が愛されていること」に気がつくかもしれない。
この映画の中で、病のゆえにイギリスに帰らなくてはならなかった女性スタッフ「アンナ」が出て来る。失望、落胆している彼女に「祈ることの使命」を与える。数年後、マザー・テレサは、養子縁組をめぐるスキャンダルに巻き込まれ、本当に行き詰まってしまう。その時彼女は、遠くイギリスにいる「アンナ」に電話をかける。「あなたの祈りで、天国を揺さぶって」。
何もできなくても誰でも「祈るという重要な使命を持っている」ことを教えてくれる。
この映画は、偉大な事業をした「マザー・テレサ」ではなく、地元住民の猛抗議や、役所の閉鎖命令等様々な困難に出くわし、その都度行き詰まり、苦しみ、挫折を味わい、そして主に祈って、再び困難に向かっていく人間「マザー・テレサ」が描かれている。
プロテスタントでもカトリックでも、祈ることがどんなに私たちに必要なことだろうか。彼女のことを良く知っている方がこういったそうである。「本当のマザーは、映画以上にもっと祈る人でしたよ」。これが、プロテスタントの教会員である私がこの映画をお薦めする理由だ。
映画の出来からいっても、この映画は素晴らしい。なんと「ロミオとジュリエット」「ナザレのイエス」に出演した「オリビア・ハッセー」が、「マザー・テレサ」の役を見事に演じきっている。彼女は20年間以上この役を切望していたのだそうだ。試写会で観た方々は誰もが言った。「本物そっくりだ」。
8月に主要都市で公開の予定。昨年は「パッション」に「パッション」したが、今年はこの映画に静かに燃えたい。